福岡県感染症発生動向調査情報

第41週分(平成13年10月8日〜10月14日)

レジオネラ症

平成13年第41週の福岡県感染症発生動向調査情報では、マイコプラズマ肺炎の発生は続いていますが、流行性耳下腺炎の報告は先週より減少しています。

今週は、レジオネラ症についてお話します。この病気は、レジオネラ属のという種類の細菌の感染により、レジオネラ肺炎、発熱、敗血症、中耳炎、腹膜炎、心内膜炎などを引き起こします。

レジオネラ症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、平成11年4月から全数が報告されるようになりました。福岡県では平成11年は報告はなく、平成12年に4例の報告がありました。全国的の報告では、45歳以上で多い傾向が見られました。

レジオネラ症の一つであるレジオネラ肺炎は、1976年に米国で集団発生が起こり、この病気が発見されました。通常、レジオネラ属の細菌は、河川や土壌などの自然環境の中に広く生息しています。

これらの細菌が、冷却塔(クーリングタワー)や給湯・給水タンク、24時間風呂などにも生息することがあり、施設や病院内での感染が報告されています。

この菌を含む水滴や空気、土ぼこりを吸い込むことによって感染しますが、ヒトからヒトへはうつりません。また、感染しても発病率は1〜6%と低いのですが、感染を防止する機能が低下した高齢者や免疫抑制剤を使用している人、糖尿病、腎移植を受けた人などは、発症しやすく、重症化しやすいといわれています。

レジオネラ肺炎の症状としては、2〜10日の潜伏期ののち、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛に続いて、発熱(38℃以上)、悪寒、胸痛、咳などが見られますが、他の肺炎と大きな違いはありません。診断のためには、血液や痰、尿などの検査を行います。

治療せずに放置した場合、意識障害、黄疸、消化管出血などの重篤な合併症も見られます。経過が早いため、エリスロマイシンなど抗菌剤によって早期に治療を行うことが必要です。