福岡県感染症発生動向調査情報

第42週分(平成13年10月15日〜10月21日)

流行性角結膜炎

平成13年第42週の福岡県感染症発生動向調査情報では、流行性耳下腺炎の報告はさらに減少しています。また、A群溶レン菌咽頭炎の報告が多くなっています。

今週は流行性角結膜炎についてお話しします。この病気はアデノウイルスの感染によって起こります。アデノウイルスにもいろいろなタイプがあり、流行性角結膜炎の他に、かぜのような症状を起こすものや、咽頭炎、気管支炎や肺炎を起こすもの、髄膜炎、乳幼児の下痢を起こすものなどがあります。

福岡県において、過去10年間では、平成3年と平成8年に報告が多かったのですが、平成9年以降は、あまり大きな変化はありません。

流行性角結膜炎は感染力が強い病気で、患者さんの眼から出る分泌物に直接触れたり、それがついた器具を介して感染が広がります。そのため、保育園や学校などで時々集団発生が見られており、また、医療機関などでも見られる場合があるといわれています。

流行性角結膜炎の潜伏期は、1〜2週間程度で、急に結膜が充血し、結膜炎が起こり、その後、角膜炎が起こります。まぶたや眼の周りが腫れたり、痛みやまぶしさ、眼がかすむ、耳のあたりのリンパ節が腫れるなどの症状も見られます。また、同時に発熱(軽度)や、頭痛、食欲不振などがみられることがあります。

結膜炎は2〜4週間程度で治りますが、角膜炎などがしばらく続くことがあり、かすみ眼が続いたり、視力が低下することがあります。

感染を広げないためには、患者さんの目から出る分泌物や、それがついた器具などに触れないように気をつけることです。そのために、患者さんは、自分の専用のタオルを使い、眼をふいたテイッシュペーパーなどは袋に集めて焼却するようにしましょう。患者さんや、そのお世話などをした人は、分泌物などに触れた可能性がある場合は、流水を使い石けんなども用いて、十分手洗いをしておくことが大切です。また、この病気が治るまでは、保育園や学校などの集団生活は避けたほうがいいでしょう。