福岡県感染症発生動向調査情報

第47週分(平成13年11月19日〜11月25日)

SRSV(小型球形ウイルス)

今年第47週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎の報告が1ヶ月前の約3倍と急増しており注意が必要です。インフルエンザの報告は17件で先週より12件多くなっており、通常は12月下旬ごろから流行が始まりますので注意が必要です。

感染症発生動向調査情報における感染性胃腸炎とは、急に発症し腹痛・嘔吐・下痢があり、かつ、他の原因によるものを除外された病気を指しています。その原因としては、カンピロバクターや黄色ブドウ球菌などの細菌や、SRSVやロタウイルスなどのウイルスなどがあります。今週は、このうち小型球形ウイルス(Small Round Structured Virus、以下SRSVという)による胃腸炎についてお話します。

感染性胃腸炎を起こすものには、食中毒を起こすものがあり、このSRSVもその一つで、冬季にウイルスによっておこる食中毒の原因の大部分といわれています。

SRSVの感染経路としては、SRSVに汚染された生の貝類を食べたり、それらの貝類を扱った手や調理器具などを介して起こるものです。生または十分加熱されていない貝類を食べていない場合も感染が起こる可能性はあります。例えば、貝類を調理するために使ったまな板を十分洗わずSRSVが残り、そこで調理した生野菜をサラダとして食べた場合などです。

また、施設内での集団発生も時々見られています。施設内での集団発生といっても、必ずしも施設内で出された食事が原因とは限りません。例えば、入所者の一人が外泊して食事をとり、SRSVに感染し、施設に戻った次の日から下痢が続き、排便後よく手を洗わずにトイレのドアや部屋のドアなどに触れたため、そこから、同じトイレを使う人や同室の人に感染が広がるといったパターンもあります。

SRSVの潜伏期は1〜2日で、嘔吐・腹痛・下痢・発熱(38度以下)などの症状が1〜2日見られます。嘔吐や下痢が続くと脱水症状を起こすために、水分補給が行われます。

予防のためには、貝類はしっかり熱をとおして食べること、生の貝類を扱った手や包丁やまな板、ざるなどの調理器具はすぐ洗い(場合によっては、熱湯などで消毒する)、次に調理する食品や調理器具に、二次汚染が広がらないようにすることが大切です。

また、普段から、排便後やおむつかえの後、調理前や食事前などによく手を洗うことは、予防のために大切な習慣です。