福岡県感染症発生動向調査情報

第48週分(平成13年11月26日〜12月2日)

乳児嘔吐下痢症

今年第48週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎の報告数が、先週の約1.4倍と急増しており、注意が必要です。インフルエンザの報告はまだ多くありません。

今週は、感染性胃腸炎の一つで、秋から冬にかけて流行する乳児嘔吐下痢症についてお話します。

乳児嘔吐下痢症は、ロタウイルスというウイルスの感染によって起こります。一般に生後6か月〜2歳ごろの乳幼児多く見られ、多くの子どもは、乳幼児期にこの病気にかかってしまうと考えられています。

潜伏期は2〜3日で、症状としては、急な発熱がみられますが、39度以上になる人は3分の1程度といわれています。感染性胃腸炎でも、細菌が原因の場合は、まず下痢が見られることが多いですが、乳児嘔吐下痢症の場合は、下痢が始まる前に頻回の嘔吐が見られることが特徴です。下痢は白色〜黄白色の水様性の便で、一日に十数回も出ることがあります。わが国では、以前は3分の1の人に白色便が見られていたため、この病気のことを白色下痢症などと呼んでいましたが、近年は白色便はあまり目立たなくなっています。

頻回の下痢や嘔吐によって脱水が起こるため、治療としては、水分補給が中心となります。食事は、弱っている胃腸に負担をかけないため、消化がよく柔らかいものがよいでしょう。脂肪分の多いものや、糖分の多いものは、胃腸に負担をかけるためしばらくひかえましょう。場合によっては、吐き気止めや整腸剤などが使われることがありますが、あまり強い薬は使われません。ほぼ数日〜10日以内には治る病気ですが、脱水にならないよう注意しましょう。

感染経路は、ヒトからヒトへの経口感染が主と考えられています。発病してから1週間くらいロタウイルスが体の外に出されるので、感染を広げるおそれがあります。感染予防のためには、排便後やオムツ交換後、調理や食事前に十分手洗いをすることが大切です。