福岡県感染症発生動向調査情報

第49週分(平成13年12月3日〜12月9日)

赤痢

今年第49週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎の報告は、引き続き増加しています。水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎の報告も依然として報告数が多い状態が続いています。インフルエンザの報告はまだ多くありません。今週は細菌性赤痢についてお話します。

今年の11月〜12月上旬にかけて、全国的に細菌赤痢の発生の増加が報告されています。赤痢には、赤痢菌によって起こる細菌性赤痢と、赤痢アメーバによって起こるアメーバ赤痢があります。

細菌性赤痢は、赤痢菌が口から入って大腸まで達し、そこで増えて炎症を起こします。潜伏期は1〜5日ですが、ほとんどは3日以内です。

症状としては、まず、体のだるさ、悪寒を伴う発熱、水のような下痢がみられ、続いて腹痛やしぶり腹(便がでそうな感じがするが、出そうとしてもほとんど出ない状態が何度もくり返すこと)、血便などの症状が見られます。子どもやお年寄り、また、糖尿病や肝硬変などの基礎疾患を持っている人などは重症になりやすいので注意が必要です。

症状が見られたら放置したり、自己判断で薬を飲んだりせず、早めに医療機関を受診し、検便検査や治療を受けることが大切です。治療としては、抗菌剤が使われますが、頻回の下痢によって起こる脱水対する治療なども同時に行われます。

感染源は、赤痢患者や保菌者(症状はないが、体の中に菌を持っている人)の便や、それに汚染された手指、食品、水、ハエ、食器などです。

感染予防のためには、排便後やおむつ換えのあとは十分手を洗う、家族の中に下痢をしている人がいるときはその人が使うタオルを別にする、下痢をしている人はできだけ調理を避ける、調理や食事の前は、石けんや流水を使って手を洗う、魚貝類や生ものを調理したあとは、すぐそれを調理した器具や手を洗ってから次の調理に取りかかる、鍋ものなどするときは、生ものをとる取り箸と、口に入れる使い箸を別にするなどの注意が必要です。

また、水などを介して感染が広がる場合もあるので、井戸水や貯水槽を使っている場合は、水質検査をして、細菌に汚染されていないかを調べることも大切です。水質検査は、最寄りの保健所でできますが、検査のための専用容器は保健所にあるので、検査方法などを事前に確認してから検査を受けましょう。