福岡県感染症発生動向調査情報

第1週分(平成13年12月31日〜平成14年1月5日)

感染症発生動向調査

平成14年第1週の感染症発生動向調査情報は、報告時期が年始にかかったため、全体的に報告数が少なくなっています。インフルエンザについては定点数が183か所から198か所と15か所増加しているため、報告数も増加しています。県内全体で報告数が増加していますが、全体としては、平成12年度よりは、報告数は多いものの、平成10、11年度よりは少くなっています。1類〜3類感染症の報告はありませんが、4類感染症(全数報告分)では、急性ウイルス肝炎(B型)が1例報告されています。

今週は、感染症発生動向調査についてお話しします。

感染症発生動向調査は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以後、感染症法という)に基づき実施されています。この法律は、伝染病予防法(明治30年制定)にかわる法律として、平成10年10月に制定され、翌年4月から施行されています。

感染症法といっても、この世の中にあるすべての感染症が、法律の対象疾病となっているわけではなく、公衆衛生上の向上及び増進のために、対応が必要な72疾患が対象となっています。これらの疾患は、その感染力の強さや重症度に応じて、1〜4類までの4つに分類されています。

このうち、1類感染症は、感染力が強く、重症度などから危険性が極めて高い感染症で、エボラ出血熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱とペストの5疾患があります。2類感染症は、危険性は高い感染症で(1類感染症に較べると低い)、細菌性赤痢、コレラ、急性灰白髄炎(ポリオ)、ジフテリア、腸チフス及びパラチフスの6疾患があります。3類感染症は、危険性は1類や2類のように高くはないものの、特定の職業に就いている人が感染や発病すると、集団発生を起こし得る感染症で、腸管出血性大腸菌感染症(O-157など)のみです。4類感染症は、国が感染症発生動向調査を行う感染症として位置づけられており、インフルエンザを始めとして60の疾患があります。この中には、後天性免疫不全症候群(エイズ)などのように全医療機関が報告する感染症(全数報告)が33疾患と、定点医療機関(人口に基づいて算定される。例えばインフルエンザは人口7.5万人あたり1か所の定点医療機関を指定する)のみで把握する感染症(定点把握)が27疾患あります。

定点把握の感染症は、年次推移を比較をする場合は、定点あたりの報告数を用いますが、福岡県における定点数は、平成14年1月現在276で、国の基準を満たしています。