福岡県感染症発生動向調査情報

第4週分(平成14年1月21日〜1月27日)

オウム病

平成14年第4週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数がさらに増加し、定点あたりの報告数が20.7となっています。県内各地区で増加していますが、北九州地区(定点あたり26.5)、福岡地区(19.9)、筑豊地区(10.7)、筑後地区(20.3)となっており、福岡地区で、先週の約2倍となっています。また、風しんの報告数が増加してきており、今後、注意が必要です。風しんについては、これまでに風しんにかかったことがなく、かつ、予防接種を受けていない場合は、早めに接種を受けましょう。

今年の1月中旬、松江フォーゲルパークという施設におけるオウム病の集団感染の問題が報道されましたが、今週は、このオウム病についてお話しします。オウム病は、オウム病クラミジアという病原体によって起こる病気です。

トリからヒトに感染する病気で、肺炎や気管支炎を起こすほか、重症になると、髄膜炎や多臓器不全などを起こします。オウムに限らず、インコ、ハト、カナリア、ニワトリなども、この病原体を保有している可能性があります。

潜伏期は1〜2週間で、急に悪寒(さむけ)と高熱(38度以上)、頭痛、関節痛や筋肉痛、全身倦怠感など、インフルエンザとよく似た症状が出ます。咳も出ますが、血痰を認める場合もあります。

感染経路としては、感染しているトリの分泌物や乾燥した排泄物などに含まれている、オウム病クラミジアを吸い込んだり、口移しにえさを与えることによって、口から病原体が入ってくるなどの経路があります。

治療には、抗菌薬(テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系)が使われますが、この病気には効かない抗菌薬(ペニシリン、セフェム系)もあります。早期に適切な抗菌薬を使用するにあたり、トリをペットとして飼っているかに関わらず、トリとの接触の機会がなかったかを調べることが大切です。また、抗菌薬の服用期間は、再発を防ぐために2週間程度服用することが望ましいといわれています。症状がおさまっても自己判断でやめたりせず、医師の指示に従って服用しましょう。

トリを飼っている場合は、トリに口移しでえさをあたえるなどの過度の接触を防ぐ、トリが弱ったときは早めに獣医に相談・受診すること、トリにストレスをかけないように注意して飼育することなどに注意しましょう。