福岡県感染症発生動向調査情報

第6週分(平成14年2月4日〜2月10日)

結核の予防接種(BCG)

今年第6週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告は減少しており、1定点医療機関あたりの報告数は17.3となっています。地区別では、北九州15.8、福岡20.0、筑豊7.5、筑後19.2と、いずれの地区でも減少しています。A群溶レン菌咽頭炎や感染性胃腸炎の報告が依然として高い状態が続いており、注意が必要です。

今週は、結核の予防接種(BCG)についてお話しします。

先日、横浜市の中学校で1997年(平成9年)にBCG接種を受けた68人のうち、26人(38.2%)もの人が接種部位にケロイドなどを生じ、市から医療費などが給付されることになったという報道がありました。BCGは、通常上腕外側ほぼ中央(肩と肘を結んだ中間あたり)に接種されますが、これより肩に近い部分に接種すると、皮膚の緊張や衣服との摩擦により、ケロイドが起こりやすいといわれています。

現在は、結核予防法に基づき、4歳未満、小学校1年生、中学校1年生で、いずれもツベルクリン反応検査が陰性の人にBCGが定期接種として行われています。小学校1年生と中学校1年生で、BCG接種を受けた人は、翌年にツベルクリン反応検査を行い、陰性であれば再度BCG接種を行います。結核は、現在では治療薬もあり、早期に発見し適切な治療を行えば治る病気ですが、乳幼児が結核にかかると、結核性髄膜炎や粟粒結核などを起こし、死亡したり後遺症を残すことがありますので、1歳までの早い時期にBCG接種を受けることをおすすめします。

接種時の注意として、接種日は接種部位が隠れるような袖丈の洋服を着せていきましょう。BCGは日光に弱いため、接種後は日陰で乾かし、完全に乾いてから袖をおろし、日光があたらないようにします。また、接種当日は、入浴は可能ですが、接種部位をゴシゴシ擦ったりしないようにしましょう。

BCGを初めて接種した場合は、接種後1週間頃から接種した針あとが赤く腫れて、2週間頃には少し化膿しますが、3〜5ヶ月もすると小さなあとを残すだけになります。2回目以降の接種ではそれらの反応が出る時期が少し早くなります。人によっては、わきの下のリンパ節が腫れてしこりができることがあります。化膿やリンパ節の腫れが強い場合は、かかりつけ医などに相談しましょう。

また、ケロイドになりやすい体質の人は、接種前にかかりつけ医や接種医によく相談してから接種を受けましょう。