福岡県感染症発生動向調査情報

第7週分(平成14年2月11日〜2月17日)

レジオネラ症

今年第7週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は先週の半分に減少しており、1定点医療機関あたりの報告数は8.8で、いずれの地区でも減少しています。感染性胃腸炎の報告数は増加しており、今後とも注意が必要です。

今週は、レジオネラ症についてお話します。

レジオネラ症は、平成13年に福岡県は2件、全国で83件報告されていますが、平成14年に入って、福岡県でもすでに1件報告がありました。

レジオネラ症は、レジオネラ属菌(現在41種類ある)という細菌の感染によって起こります。レジオネラ属菌は、土の中や川、泉、湖などに生息していますが、冷却塔や給湯・給水タンク、循環式のお風呂などからも発見されています。また、医療機関内での院内感染例では、ネブライザーなどの呼吸管理をするための器械の使用との関連が指摘されています。レジオネラ属菌が含まれた蒸気や水を吸い込むことによって感染が起こりますが、ヒトからヒトへは感染しません。

レジオネラ症は、レジオネラ肺炎と、自然に治ってしまうもの(ポンティアック熱)の2つがありますが、このうちレジオネラ肺炎について説明します。

レジオネラ肺炎は、どの年齢の人でもかかりますが、50〜60歳代が多くなっており、男性が女性の3倍となっています。高齢者や免疫力の低下した人は、重症化しやすいので注意が必要です。また、旅行後に発病する人が多いという報告もあります。

症状としては、2〜10日の潜伏期ののちに、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛に続いて、発熱(38℃以上が多い)、咳などが見られ、他の肺炎と同じ様な症状のため、症状だけでは診断はつきにくく、血液や痰、尿などの検査を行い診断がつけられます。

治療には、有効な抗菌剤(マクロライド系、ニューキノロン系など)はありますが、一般の細菌性の肺炎に有効な抗菌剤(セフェム系など)では効果がありません。経過が早いため、診断や治療が遅れた場合、重症になることがあるので、早期診断と適切な治療が必要です。

レジオネラ症の予防のためには、建物や入浴施設、医療施設などの管理者が、きちんと施設や設備などの衛生管理を行い、感染を起こさないようにすることが大切だといわれています。