福岡県感染症発生動向調査情報

第8週分(平成14年2月18日〜2月24日)

コレラ

今年第8週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は先週のほぼ横ばいで、1定点医療機関あたりの報告数は9.1となっています。地区別では、北九州が7.6(前週7.0)、福岡9.6(前週9.8)、筑豊5.4(前週4.7)、筑後11.9(前週11.1)となっています。感染性胃腸炎の報告数はさらに増加しており、今後とも注意が必要です。

これから海外旅行を予定されている方もいらっしゃると思いますが、今週はコレラについてお話しします。

コレラは、コレラ菌が水や食べ物などを介して、口から入ってきた場合に起こる病気です。コレラ菌は、胃の中の胃酸によって死んでしまうことが多いのですが、死なずに生き残った菌が腸に達すると、毒素を出し腸に炎症を起こし、下痢などの症状が見られます。通常は、発熱や腹痛は伴いません。軽症の場合は、一日数回の下痢ですむ場合もありますが、重症の場合は、一日10回以上も下痢が見られます。水のような下痢が見られ、白色または灰白色で「米のとぎ汁様」となることがあり、下痢の回数が多くなると、水や電解質が大量に失われて脱水を起こし、ひどくなると目がくぼみ、頬がこけ、皮膚が乾燥し、声がかれ、けいれんを起こしたり、意識がなくなったりします。

日本では、1995年(平成7年)に305件の報告がありましたが、ここ数年は年間50件前後です。熱帯・亜熱帯のコレラ流行地域を旅行した人が、旅行中または帰国後発病する例が多く報告されています。

治療としては、水分と電解質の補給が主となります。重症の場合は、下痢の期間の短縮などの目的で、抗菌剤の使用が勧められています。子どもやお年寄り、また過去に胃の切除を受けた人などは、重症になりやすいので、早めに医療機関を受診しましょう。

コレラは感染力の強い病気です。下痢が止まっても数日間は、便から菌が出されますので、本人やその世話にあたる人は、排泄後やおむつ換えの後、調理や食事の前などに十分手洗いをしましょう。

予防のためには、コレラが流行している地域を旅行する際は、生ものや生水の飲食をさけましょう。予防接種は福岡検疫所で受けられますが、予約が必要ですので、事前に下記に連絡してください。

*福岡検疫所予防接種専用ダイヤル 電話 092−291−3585 受付時間 9:30〜11:00、13:30〜16:00(土日、祝日を除く)