福岡県感染症発生動向調査情報

第9週分(平成14年2月25日〜3月3日)

マラリア

今年第9週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は減少し1定点医療機関あたりの報告数は7.8(前週9.1)となっています。乳児嘔吐下痢症の報告が多くなっており、注意が必要です。

今週は、マラリアについてお話しします。

マラリアは、マラリア原虫によって起こる病気で、この原虫を持った蚊(熱帯〜亜熱帯に広く分布)に刺されることによって感染します。熱帯から亜熱帯の100カ国で流行しており、年間で3〜5億人が感染していると推定されます。日本でも海外から帰国した人の発病が、1970年代から増加し、平成13年は全国で104例(福岡県は4例)の報告がありました。

マラリアは、原虫の種類によって、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアの4つに分けられます。アジア・オセアニア(インドネシア、インド)では、三日熱マラリアが多く、アフリカ(ケニア、ガーナ、マリ)では熱帯熱マラリアが多くなっています。

症状としては、急に悪寒(寒気)がして40度を越えるような高い熱が出ます。関節痛や結膜充血などインフルエンザとよく似た症状がみられます。三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアは、高熱が数時間続いたあと、大量の汗をかいて熱が下がるという「熱発作」と呼ばれる状態をくり返します。これらのうち熱帯熱マラリアは経過が悪く、発病後数日以内に治療をしないと、ショックなど重篤な合併を引き起こし死亡することがあります。流行地域から帰国後に、突然の発熱をみた場合、マラリアを疑って早めに検査を受けることが大切です。

マラリアの予防のためには、蚊に刺されないようにすることが大切です。流行地では、蚊の活動時間である夕方から朝までの外出を避け、長袖・長ズボンを着用し、露出部位には刺されないための薬を塗りましょう。蚊帳や網戸の使用だけでなく、蚊取り線香も有効です。旅行時には、蚊取り線香を持参することをおすすめします。マラリアの予防薬は、感染を予防することはできませんが、発病を予防するために使われ、流行地に行く前1〜2週間と、帰国後4〜6週間内服します。

また、マラリアに感染した人の血液を介して感染することがありますので、以前マラリアにかかったことのある人や、流行地域から帰国して1年間以内の人は献血を避けましょう。