福岡県感染症発生動向調査情報

第10週分(平成14年3月4日〜3月10日)

高齢者の結核

今年第10週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は減少し、1定点医療機関あたりの報告数は7.2(前週7.8)となっています。北九州地区からの風しんの報告が多くなっており注意が必要です。

今週は、高齢者の結核についてお話しします。

医療機関等を受診して結核と診断された場合、結核予防法に基づきそれを診断した医師によって、もよりの保健所長に届出が行われます。1年間に新たに届出が出された結核患者さんの数は、平成12年には全国で39,384人、福岡県で1,613人でした。人口10万人あたりの結核患者数(罹患率という)は、全国は31.0、長野県が最も少なく13.0、大阪府が最も多く61.5、福岡県は32.2で全国平均より多くなっています。

福岡県では、平成12年の1年間に新たに結核として届けられた患者さんのうち、60歳以上の方が956人と全体の約6割を占めており、その割合は年々増加しています。今後、高齢化によって発病者に対する高齢者の割合がさらに増加すると考えられています。

結核は、現在よく効く治療薬があり、きちんと治療すれば治る病気となっています。しかし、治療をしても体の中のすべての結核菌を取り除くことはできません。以前、結核にかかったことがある人は、年をとったり結核以外の病気になって体力や免疫力が低下し、結核を再発することがあります。また、約50年前の福岡県の結核の罹患率は現在の約20倍もあり、周囲に結核患者さんがいたりして気づかないうちに感染を受けた方が、年をとったり他の病気にかかって体力や免疫力が低下して、結核を発病することもあるといわれています。

結核を発病しないためには、体力や免疫力を低下させないようにすることが必要ですが、たとえ発病しても、早く見つけて、すぐに治療を始めることが大切です。結核を発病してもひどくならないうちに治療すれば、周囲の人にうつす可能性も少なく、また入院せずに外来通院で治療できる場合があり、経済的な負担も少なくてすみます。発病を早く見つけるために、住民健診などで定期的に胸部レントゲン検査などを受け、発病していないかを確認しましょう。また、咳や痰が続き、微熱、体のだるさや食欲の低下などがあった場合は放置せず、すぐに医療機関を受診し検査(胸部レントゲン検査、痰の検査なども)を受けましょう。