福岡県感染症発生動向調査情報

第11週分(平成14年3月11日〜3月17日)

手洗い

今年第11週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は再び増加し、1定点医療機関あたりの報告数は8.9(前週7.2)となっています。筑豊地区では減少しており、北九州地区では横ばいですが、福岡地区と筑後地区で増加しています。インフルエンザウイルスB型の報告が増加しており、引き続き注意が必要です。

今週は、感染症予防の基本の一つである「手洗い」についてお話しします。

ヒトの手にはたくさんの細菌がついており、それらは「一過性菌」と「常在菌」に分けられます。「一過性菌」とは、一時的に皮膚についても短時間しか生きられない細菌のことで、赤痢菌や腸管出血性大腸菌(O-157)などです。「常在菌」とは、皮膚の上で生存し増えることのできる細菌のことで、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などです。 

手洗いは、手に付いた細菌が食べ物について口から入ってくる「経口感染」の予防や、手に付いた細菌を他の人につける「接触感染」の予防のために必要です。「手洗い」といっても、手をぬらす程度では効果はありません。有効な「手洗い」のポイントは、表のとおりです。

石けんには、「普通の石けん」と、細菌を殺す薬(抗菌剤)が入っている「薬用石けん」があります。「普通の石けん」は「一過性菌」を物理的に除去しますが、「常在菌」は除去できません。「薬用石けん」は洗い流したあとも抗菌剤が働いて細菌を殺菌します。たとえば、MRSAに感染している人が療養している家庭では、「薬用石けん」を使用することがすすめられます。手の消毒用のアルコールも、薬用石けんと同じような効果があり、普通の手洗いのあとに擦りこむといった方法もあります。 

石けんにも、固形と液体がありますが、固形石けんの場合は、水に濡れたままの状態では細菌がそこで増える危険があるので、石けんの受け皿をよく洗って乾かし、石けんが常に湿った状態にならないようにしましょう。液体石けんの場合は、長期間洗わないとボトルの中で細菌が増える可能性があるため、ボトルに継ぎ足しをするときは、かならず中をよく洗ってからにしましょう。タオルは乾燥した清潔なものを使いましょう。

大切なことは、日頃から、外出から帰った後、調理や食事の前、用便のあとなどは、手洗いをする習慣をつけることです。