福岡県感染症発生動向調査情報

第18週分(平成14年4月29日〜5月5日)

水痘(水ぼうそう)について

今年第18週の感染症発生動向調査情報では、連休の影響で多くの疾患が減少しています。インフルエンザの報告数も各地区で減少していますが、連休の影響もあり本当の減少かは不明確です。今週は水痘についてお話します。

水痘は一般的には水ぼうそうともいい、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症です。潜伏期は2週間程度。症状は軽い発熱と発疹で、急性に発症します。

小児では一般的に発疹が最初に見られます。赤い斑点状の発疹から始まり、数時間で水ぶくれとなり、3〜4日くらいでかさぶたのようになります。発疹の場所は、うでや顔などのむき出しの部分よりは服の下に覆われている部分に出やすい傾向があります。初期の数日間は新しい発疹が次々に出現するため、赤い発赤状のものや水ぶくれのようなもの、かさぶたのようなものなどが混在してみられることも特徴です。通常は軽症ですが、成人や免疫不全を持つ小児の場合には、重症化することもあります。まれですが、肺炎や脳炎などが合併症としてみられることがありますので、元気がなくぐったりしているときや嘔吐がひどいときには早めに診察を受けましょう。また、アスピリンを含む解熱剤を服用すると、ライ症候群(小児にみられる急性脳症)をおこすことがありますので、医師の指示なくお薬を飲ませるのはやめましょう。

水痘は、感染力の強いウイルスのひとつであり、麻しんよりは弱いものの、おたふく風邪や風しんよりは強い感染力があります。家庭内接触での発症率は90%以上といわれています。発疹がでる1〜2日前から水疱がかさぶたになるまで感染力があるとされています。また直接の皮膚の接触だけでなく、飛沫感染や空気感染もあるため、すべての発疹がかさぶたになるまでは登校、登園はできません。

水痘はヒトからヒトへと感染する疾患なので、予防の第一は感染源となるヒトとの接触を避けることです。また、水痘ワクチンの予防接種も有効です。水痘ワクチンの一回接種による抗体獲得率は92〜95%とされています。ただし、接種を受けた人のうち10%程度は発症しますが、症状は軽く、重症化する心配もないといわれています。水痘が流行している施設や家庭内での発症予防として、患者と接触した場合は、72時間以内にワクチン接種を行えば発症予防が期待できるとされています。