福岡県感染症発生動向調査情報

第19週分(平成14年5月6日〜5月12日)

C型肝炎について

今年第19週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は減少、ヘルパンギーナの報告数が増加しています。

さて、5月20日〜26日は「肝臓週間」です。そこで今週は「C型肝炎」についてお話します。

肝炎とは、肝臓に炎症がおこって肝臓の細胞が壊れ、肝臓の働きが悪くなる状態をいいます。肝炎の原因としてはウイルスやアルコール、薬剤などがありますが、このうち肝炎を起こすウイルスの中で比較的多いものとしてはA型、B型、C型の3種類があります。この中で慢性肝炎を起こすものはB型とC型が大部分です。

C型肝炎ウイルスは、主に感染している人の血液が、身体の中に入ることによって感染します。しかし、C型肝炎ウイルスに感染している人と一緒に食事をしたり、キスをしたり、握手をしたり、一緒に入浴をしても感染しません。

C型肝炎ウイルスに感染すると、多くの人が持続感染の状態となりますが、その後慢性肝炎となる人も多く、さらに一部の人では肝硬変や肝がんへと進行する場合があることから注意が必要です。

日本の肝がんの90%以上は肝炎ウイルスが原因で、特にC型肝炎ウィルスを原因とするものが80%以上と言われています。このように肝がん発症の大きな危険因子となるC型肝炎ウィルスですが、感染していても症状がない場合が多くあり、気づかずにいる場合もあります。C型肝炎と診断されたら、患者さんの年齢や病気の進行状態によって違いますが、インターフェロンといった抗ウイルス剤や肝臓の細胞がウイルスによって損傷されることを防ぐ薬を使います。適切な治療や定期的に検査を受けることで、肝がんへの進展を抑制したり、肝がんの早期発見につなげたりすることができます。

今年度から、市町村で行われる基本健康診査の中でC型とB型の肝炎ウイルス検査を受けることができるようになりました。検査を受けることのできる方については下記の表を参考にしてください。日常生活の中ではC型肝炎ウイルスに感染することはほとんどないことがわかっていますので、検査は1回受ければよいとされています。福岡県は全国の中でも肝臓がんによる死亡率が高い地域ですので、肝臓がんの主要な原因となっている肝炎ウイルスの検査を受けておくことは肝臓がんの予防のためにとても重要になります。

福岡県の保健所でもC型肝炎の相談事業を行っています。また、必要に応じて、有料で検査も行っています。