福岡県感染症発生動向調査情報

第22週分(平成14年5月27日〜平成14年6月2日)

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)について

今年第22週の感染症発生動向調査ではヘルパンギーナの報告数は引き続き増加しています。また風しん、流行性耳下腺炎の報告数も増加しています。そこで、今週は「流行性耳下腺炎」についてお話しします。

流行性耳下腺炎は、一般に「おたふくかぜ」と呼ばれるもので、ムンプスウイルスによって起こる病気です。症状は、その名の通り急に始まる耳の下の腫れや痛みを特徴とします。腫れは片方だけの場合もあれば両方の場合もあります。また、会話や食事のために口を大きく開けた時、あるいは酸味のあるものを食べた時に痛みが増すのも特徴です。軽度の発熱等も見られますが症状は約10日間でなくなります。

発熱と耳下腺の腫れのため、食欲が落ちて脱水を起こすことがあるため、水分の補給に気をつけましょう。また合併症として、無菌性髄膜炎を起こすことがあるので、安静を心がけることなどの注意が必要です。さらに、思春期以降では、精巣(睾丸)炎、卵巣炎、膵炎などの合併症を起こしやすく、まれですが、男性の場合は、精巣炎が不妊の原因となることもあるといわれています。

予防のためには、おたふくかぜワクチンがあります。1歳以上で流行性耳下腺炎にかかったことのない人に対し、任意接種(予防接種法などで定められた定期予防接種以外の予防接種。受けたい人が自分でお金を支払って受ける)で行われています。ワクチン接種後に非常にまれですが、副作用で髄膜炎が発病することがありますが、自然に感染した場合に起こる髄膜炎に比べ、頻度も少なく、経過も良好です。ワクチン接種を希望される場合はかかりつけの医師に相談してください。 

流行性耳下腺炎は空気中に浮遊しているウイルスによって人から人へ伝播します。耳の下の腫れが完全に消失するまでは、周囲に感染する可能性があります。登園、登校や人込みへの外出は、症状がなくなるまで避けましょう。