福岡県感染症発生動向調査情報

第23週分(平成14年6月3日〜平成14年6月9日)

ハンセン病について

今年第23週の感染症発生動向調査ではヘルパンギーナの報告数は引き続き増加しています。また今週は、手足口病、マイコプラズマ肺炎の報告数も増加しています。

さて、6月23日から29日までは「ハンセン病を正しく理解する週間」です。そこで今週はハンセン病についてお話しします。

ハンセン病は遺伝性の病気ではなく、結核と同じ抗酸菌の仲間である「らい菌」という病原体によって起こる感染症で、以前は「らい病」と呼ばれていました。

らい菌は、とても感染力の弱い菌で、乳幼児などの免疫力の弱い人にらい菌の接触があったときに感染します。戦前などのように生活環境の悪い場合にはじめて発病し、現在の私たちのような生活環境ではほとんど発病しません。現在の日本では、ハンセン病を発病する人は年間に5人前後です。

治療はいくつかの薬剤を併用する多剤併用療法を基本として行われています。早期に発見し、正しく治療をすれば、障害を残すことなく治癒できます。治療を開始して数日で感染性がなくなってしまうため、治療は現在はほとんど外来で行われています。

また、現在療養所に入所されている方は患者・元患者の方々であり、療養所の医師や看護婦などでハンセン病にかかった職員はひとりもおりません。回復した患者(外見上は後遺症はありますが)から、感染する可能性はまったくありません。

ハンセン病を診療する機会の少ない医師・医療関係者などに、診療・検査・治療などをアドバイスするためのハンセン病診療協力ネットワークがありますので、九州とその周辺の機関について下の表に記します。

ハンセン病について正しく理解し、患者・元患者のみなさんに対する偏見や差別をなくしましょう。

6月22日(土)13時30分から、福岡市天神のエルガーラホールにて「ハンセン病に関する講演会」を開催します。今年は、「ハンセン病問題・今後の課題」や「社会復帰までを振り返って」といった内容で、全国ハンセン病療養所入所者協議会の神 美知宏事務局長と4月に社会復帰された中 修一さんを講師としてお呼びしています。お問い合わせは県庁健康対策課(092−643−3268)まで。