福岡県感染症発生動向調査情報

第25週分(平成14年6月17日〜6月23日)

食中毒について

今週第25週の感染症発生動向調査情報では、報告数の増加したものとして、A群溶レン菌咽頭炎、感染性胃腸炎などがあり、いずれも定点あたりの患者数では全国を上回っています。

さて、梅雨に入ってじめじめした蒸し暑い気候が続いています。これから食中毒が多発する季節になりました。感染症発生動向調査でも感染性胃腸炎の報告数が増加しており、今週は食中毒についてお話します。

食中毒は、細菌や毒物などが含まれた食品を食べたり、飲んだりして起こる中毒症の総称です。食中毒の原因としては、自然毒、混入毒物や細菌などがあります。このうち、細菌による食中毒は、「感染型」と「毒素型」の二つに分けて考えられています。

まず、「感染型」食中毒とは、細菌が腸の中に入って、腸で炎症を起こしたり、腸の中で増えるときに毒素を出したりするために、下痢などの症状を起こすものです。次に、「毒素型」食中毒とは、食品の中で細菌が出した毒素が、胃酸などで分解できずに腸の中に入って症状を起こすものです。

これらの食中毒のうち、腸炎ビブリオによる食中毒は、「感染型」食中毒の一つですが、原因が判明した食中毒の約3分の1を占めており、6〜9月に多く発生します。腸炎ビブリオという細菌に汚染された魚介類やその加工品を食べて感染します。潜伏期は、10〜20時間ですが、時には2〜3時間と短い場合もあります。症状としては、腹痛、下痢(水様性、粘血便)のほかに、発熱や嘔吐、頭痛などが見られることがあります。ほとんどが数日〜1週間以内に症状はおさまります。下痢や発熱で脱水を起こすため十分な水分や電解質の補給が必要です。

食中毒が発生する場所としては、飲食店の次に多いのが家庭での発生です。食中毒の予防のためには、食品の取り扱いにおいて、食中毒の菌を「つけない・増やさない・殺す」という3つの原則をきちんと守ることが重要になります。下の図に食事作りの際に気を付けた方がよいことのチェックリストを示しますので参考にして食中毒にかからないようにしっかり予防しましょう。