福岡県感染症発生動向調査情報

第29週(平成14年7月15日〜7月21日)

エイズ(後天性免疫不全症候群)について

今週第29週の感染症発生動向調査情報では、多い状態が続いていた風しんの報告数はかなり減少しました。ヘルパンギーナの報告数も減少していますが。全国的には増加中ですので注意が必要です。

さて、今週は日本において増加が続いているエイズ(後天性免疫不全症候群)について、発生の動向などを交えてお話しします。

この病気はヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされます。このウイルスはヒトの体を守る免疫をコントロールする細胞を破壊します。そのため免疫の機能が低下してしまい、健康なときにはかからないような病気にかかるようになるのです。

日本においては、性的接触や静注薬物濫用による感染が増加しており、新しくHIVに感染した感染者数は別のグラフに示すとおり年々増加しています。

新しくHIVに感染した方の中では、日本国籍の男性がもっとも多く、感染経路としては、性的接触によるものが増加しています。特に男性では異性間・同性間性的接触によるものがともに増加しており注意が必要です。年齢層では20歳代の占める割合が高いのですが、最近の3ヶ月(平成14年4月〜6月)の報告では、10代の男性3件、女性2件の感染者の報告があり、若年者の間に感染が増加していることがうかがわれます。

このようにエイズは決して他人事ではなく、日本の若い人たちの間に着実に広まってきています。そこで、感染を防ぐために日常の中できちんと予防をしていくことが大変重要になってきます。HIV感染の予防のためには、性行為のはじめからコンドームを使用すること、不特定多数のパートナーとの性交渉を避けることが大切です。

またエイズの治療としては、現在、いくつかの薬を組み合わせた多剤併用療法が行われており、エイズ患者の死亡数が激減しています。HIVに感染したとしてもこうした治療法があることを知っておくことも重要です。

保健所ではエイズの相談や検査を無料で受けられます。県内どこの保健所でも相談や検査が受けられますが、保健所によって曜日や時間帯が違うので、事前に電話で確認(予約が必要な場合がある)をしてから行くことをおすすめします。