福岡県感染症発生動向調査情報

第31週分(平成14年7月29日〜8月4日)

咽頭結膜熱について

今週第31週の感染症発生動向調査情報では、報告数に大きな変化はありません。

さて、8月に入りましたが、海やプールに遊びにいく機会も多いのではないでしょうか。今週は咽頭結膜熱についてお話しします。

咽頭結膜熱はウイルスによって起こる疾患で、例年6月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月に発生のピークを示す夏期の疾患です。プールでの感染も見られることから"プール熱"という名前でも知られています。10歳未満が95%、特に5歳以下が80%と、主に小児に見られる疾患です。

典型的な症状としては、「咽頭結膜熱」という名前どおり、5〜8日の潜伏期の後、38〜40度の高熱と、のどの腫れと痛み、耳の周りや首のリンパ節の腫れが出現します。また、目が充血して涙や"目やに"が多く出たり、目が痛んだりします。目の症状は片方の目から始まり、両方の目に広がります。高熱やのどの腫れ・痛みなどの症状は普通1週間程度で治り、重症になることはありませんが、目の症状はさらに1週間程度残ることがあります。また、このウイルスは周囲の子どもだけではなく、患児の親などの周囲の大人にうつることもあります。大人の場合は突然の片眼の異物感や"目やに"などで始まり、首のリンパ節の腫れを伴います。時にのどの痛みがでますが、通常は自然に治ります。

特別な治療法はありませんが、眼の症状が強い場合は、眼科での治療が必要になることもあります。

この疾患の原因はアデノウイルスというウイルスです。ウイルスは、患者の眼・のどからは約2週間、便からは数週間排泄され、飛まつ(咳やくしゃみをした後の"しぶき"が空中で乾き、漂っているものです)や、ウイルスがついた手やタオルなどを介してうつります。最近はプールの衛生管理が良くなったため、プールでうつることより、飛まつやウイルスのついた手やタオルなどを通じてうつることの方が多くなりました。ですから、うつらないためには普段からうがいや手洗いを行い、タオルやハンカチを共有することを避けることが大切です。