福岡県感染症発生動向調査情報

第34週分(平成14年8月19日〜8月25日)

淋菌感染症

今週第14週の感染症発生動向調査情報では、お盆休み明けで、突発性発しんを始めほとんどの疾患の報告数が増加しています。

さて、今週は性感染症の一つである淋菌感染症についてお話しします。

淋菌感染症は、淋菌という細菌を原因として、性行為によって感染する病気です。

この病気は症状、経過に男女差があります。男性では、感染の2〜9日後に急性尿道炎を発症します。症状としては、尿道に軽いかゆみや熱っぽさを感じ、排尿時に痛みを感じるようになります。これを放置すると、尿道口からは白く濁った膿が出るようになり、尿の回数が増え、排尿困難が起き、排尿の終わりに出血が見られるようになります。一方、女性は症状が軽く、排尿時に軽い痛みを感じたり、尿の回数が増えたり、黄色いおりものがでたりする程度ですので、感染に気付かずに過ぎてしまうことが多くみられます。しかし放置すると、子宮内膜炎や卵管炎などを起こして、不妊や子宮外妊娠の原因になることもありますので、早期に治療を受けることが必要です。また、最近は咽頭に感染した例も増加してきており、最近の性行為の傾向との関連が考えられます。

最近問題となっているのは、口腔性交による尿道炎や咽頭炎を起こす症例が増加していること、肛門性交による直腸炎も増加していることです。これらは最近の性行為の傾向との関連が考えられます。さらに、これまで治療に使われていた抗菌剤や抗生物質に耐性のある淋菌がみられるようになってきていることです。

治療は、主に抗生物質の経口剤の服用です。きちんと治療を受ければ、数日で治癒し、感染性もなくなります。しかし、治療を受けなければ、無症状でも感染性は数年続くこともあります。治療の際は、パートナーにも感染の可能性があることを伝え、一緒に検査や治療を受けることが大切です。

感染予防のためには、コンドームが有効です。しかし、正しく使わなければ感染防止にはなりません。コンドームを正しく使用し、無防備な性交渉を避け、性感染症の予防に努めましょう。表にコンドームのチェックポイントをのせていますので、参考にして下さい。