福岡県感染症発生動向調査情報

第37週分(平成14年9月9日〜9月15日)

結核について

9月24日〜30日は、「結核予防週間」となっています。そこで、今週は結核についてお話しします。

結核は結核菌という細菌によって、ヒトからヒトにうつる病気で、患者の咳などによって出された分泌物を吸い込むことによって感染します。

しかし、結核は感染してもほとんどの場合は発病しません。これは体の免疫機構が働いて、結核菌を封じ込めてしまうからです。発病する場合は、すぐには病気として現れません。感染後2ヶ月頃から発病し始め、ほとんどが半年から2年の間に発病し、その後の発生は少なくなります。しかし、感染後、10年以上経ってからの発病も少数ですが見られます。

2000年に全国で結核に新たにかかった人は39,384人で、約2,650人の方が結核で死亡しています。福岡県では、2000年には、1613人の新規患者が発生しており、結核の罹患率(人口10万人あたりの新規患者数)は全国平均を上回っています。

結核を発病しないためには、体力や免疫力を低下させないようにすることが必要ですが、たとえ発病しても、早く見つけて、すぐに治療を始めることが大切です。結核を発病してもひどくならないうちに治療すれば、周囲の人にうつす可能性も少なく、また入院せずに外来通院で治療できる場合もあります。

結核を早期発見するためには、毎年職場や市町村で行われている結核定期健康診断(胸部レントゲン検査など)を受け、異常がないかを確認しましょう。また、異常を指摘された場合は、そのまま放置せず、早めに精密検査を受けましょう。さらに、咳が長引いたり、カゼが治りにくいなどの症状があるときは、早めに医療機関を受診し、胸部レントゲン検査や痰の検査などを受けましょう。

また、乳児が結核に感染した場合は、結核性髄膜炎や粟粒結核など深刻な症状を呈することがありますので、予防のため、できるだけ早めに予防接種(BCG)を受けることをおすすめします。