福岡県感染症発生動向調査情報

第38週分(平成14年9月16日〜9月22日)

ツツガムシ病

今週第38週の感染症発生動向調査情報では、報告数に大きな変化はありません。

さて、秋になり、行楽シーズンがやってきました。山登りやハイキングに出かける方も多いのではないでしょうか。そこで、今週は「ツツガムシ病」についてお話しします。

「ツツガムシ病」は、リケッチアという病原体による感染症で、この病原体に感染したツツガムシ(0.3ミリほどのダニ)の幼虫に刺されることによって感染します。古来、秋田・山形・新潟三県の河川の流域で発生する風土病(古典的ツツガムシ病)でしたが、戦後「新型ツツガムシ病」が出現し、北海道・沖縄などを除く、ほぼ全国で発生しています。福岡県でも、年間数例の報告があり、タテツツガムシの幼虫が活動する10月中旬〜12月にかけてが要注意時期です。

ツツガムシの幼虫は人間を刺し、このときにリケッチアが体内に侵入します。症状としては、刺されて5〜14日後に突然発熱し、数日で40℃前後にまで上がり、高熱により意識障害を起こすこともあります。また、これに悪寒や頭痛、関節痛、リンパ節の腫れなどを伴います。その後、赤〜暗赤色の発疹が全身に出現し、数日間持続します。特徴としては腋の下、胸腹部、陰部などの皮膚の柔らかい所に、痛みを伴った、赤く盛り上がり、周囲が赤黒く、中央がへこみ、潰瘍や黒褐色のかさぶたを持つ、直径10mm前後の“刺し口”があることです。

治療としては、テトラサイクリンなどの抗生物質がよく効きます。しかし、治療が遅れると重症化し、また死亡することもありますので、早めに医療機関を受診することが大切です。

ツツガムシ病患者の感染推定場所としては、山林部や山間部が最も多く、このような場所に行く時には、長袖などを着て皮膚を露出させず、家に帰ったら入浴などでツツガムシを洗い流すようにしましょう。また、野山などに行った後、発熱等の症状があるときには、速やかに医療機関に相談しましょう。