福岡県感染症発生動向調査情報

第40週分(平成14年9月30日〜10月6日)

B型肝炎

今週第40週の感染症発生動向調査情報では、全般的に前週までの減少傾向から今週は増加した疾患が多くなっています。

最近は朝晩の冷え込みが強くなり、また日もずいぶんと短くなってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今週はB型肝炎についてお話しします。

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染して起こる疾患です。B型肝炎ウイルスに感染した場合、免疫力が十分であれば、体の中から肝炎ウイルスを排除することができるので感染は一過性で(B型急性肝炎)治ります。

しかし、乳幼児のように免疫力が弱い、または低下している場合は、ウイルスを排除することができず持続感染を起こします。このような状態の人はHBVキャリアと呼ばれています。日本において、HBVキャリア率は2〜3%といわれています。

B型肝炎の潜伏期は平均60〜90日で、ほとんど症状を示さない不顕性感染の場合もありますが、急性肝炎の症状としては、黄疸、全身倦怠感、食欲不振などがみられ、さらに腹痛やじんましんがみられる場合もあります。

感染経路としては、血液、体液を介する感染、母子間の感染、性行為による感染があります。献血血液の検査、使い捨て医療器具の普及、医療従事者のワクチン接種や針刺し事故時の適切な対応が行われることにより、これらが原因となる感染は減少傾向にあります。また1986年からはB型肝炎母子感染防止事業により、ウイルスに感染した母親から生まれる児へのワクチン投与などが行われるようになりました。この処置で児への感染は、約97%防ぐことができるようになり、母子感染もほとんど見られなくなりました。そのため、最近は性行為による感染が問題となっています。

感染予防としては、患者の血液や分泌物などが付着した手指、衣類、器材などの消毒が必要です。これらを水洗し、可能なものは加熱処理をしますが、できないものは、十分洗浄した後、消毒薬で消毒します。感染予防のためのワクチンもあります。

ウイルス感染者は他の人にうつさないよう、@自分の血液や分泌物は自分で処理する、Aかみそりや歯ブラシなどの共有をしない、B献血はしない、Cコンドームを正しく使用する、などの注意が必要です。また、将来の肝がんを予防するためには、定期的に医療機関を受診し、経過を見ることが大事です。