福岡県感染症発生動向調査情報

第43週分(平成14年10月21日〜10月27日)

感染性胃腸炎

今週第43週の感染症発生動向調査情報では、前週までの少ない報告状況から反転して、A群溶レン菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘の報告数が急増しています。

急に寒くなり、冬期に多い感染症の報告数が増加しています。今週はロタウィルスによる感染性胃腸炎についてお話しします。

感染症発生動向調査における感染性胃腸炎とは、急に発症し、腹痛(新生児や乳児では不明)、嘔吐、下痢があり、かつ他の原因によるものを除外した病気を指しています。感染性胃腸炎の原因としては、カンピロバクターや黄色ブドウ球菌、サルモネラなどの細菌や、ノーウォーク様ウィルスやロタウィルスなどのウィルスがあります。

ロタウィルスは秋から冬にかけて乳幼児に流行し、乳幼児嘔吐下痢症を起こします。一般に生後6か月〜2歳ごろの乳幼児によく見られます。

潜伏期は2〜3日で、症状としては、まず急な発熱と嘔吐がみられ、その後、嘔吐は減少しますが、下痢が始まります。下痢は白色〜黄白色で水様性、一日に十数回も出ることがあります。これらの症状から、以前は、仮性小児コレラや白色便下痢症などと呼ばれていました。

治療としては、頻回の下痢や嘔吐によって脱水が起こるため、水分補給が中心となります。食事は、弱っている胃腸に負担をかけないため、消化がよく柔らかいものがよいでしょう。脂肪分の多いものや、糖分の多いものは、胃腸に負担をかけるためしばらく控えましょう。場合によっては、吐き気止めや整腸剤などが使われることがありますが、あまり強い薬は使われません。ほぼ数日〜10日以内には治る病気ですが、脱水にならないよう注意しましょう。

感染経路は、ヒトからヒトへの経口感染で、発病後1週間が感染力が強いといわれています。感染予防のために排便後やオムツ交換後、調理や食事前に十分手洗いをすることが大切です。