福岡県感染症発生動向調査情報

第44週分(平成14年10月28日〜11月3日)

インフルエンザの治療

今週第44週の感染症発生動向調査情報では、前週に引き続き、A群溶レン菌咽頭炎、感染性胃腸炎の報告数が更に増加しています。

さて、今週は、今後発生の増加が懸念されるインフルエンザの治療についてお話しします。

インフルエンザの治療は大きく分けて3つあります。安静と睡眠といった基本的な治療のほかに、熱や咳などさまざまな症状を抑える治療と、ウイルスに対する抗ウイルス薬による治療です。

治療の基本は、十分な安静と睡眠です。薬さえ飲めば、病気が治るというものではありません。インフルエンザにかかったら、まず、適当な温度(18〜20度)と湿度(60〜70%)を保った部屋で、十分な安静と睡眠をとりましょう。高い熱がでるため脱水になりやすいので、十分な水分の補給が必要です。食欲も低下しますが、消化がよい食事をとり、ビタミン類の補給に努めましょう。

ウイルスに対する薬は、これらの基本的な治療と同時に行いますが、インフルエンザを発症して40〜48時間以内に使用しないと効果がないと言われています。現在、インフルエンザA型に効く塩酸アマンタジン(商品名:シンメトレル)と、インフルエンザA型とB型に効くザナミビル(商品名:リレンザ)及びリン酸オセルタミビル(商品名: タミフル)があり、保険適応となっていますが、耐性ウイルスの出現や副作用の問題などがあり、服用については注意が必要ですので、医師に十分相談しましょう。
 
症状を抑える薬としては、発熱に関しては、38度を越える場合に解熱剤が使われることがありますが、解熱剤の中には、インフルエンザ脳炎・脳症の発症との関連から使用を見合わせた方がよいと厚生労働省が呼びかけているものがあります。自己判断で薬を飲んだりせず、医師の指示に従うようにしましょう。

また、夜眠れないほどひどい咳がでる場合は、咳止めが、さらに、鼻水を抑える薬や、のどの痛みをやわらげるためにうがい薬などが使われます。

今シーズンは、まだ報告数が少ない状況ですが、これから年末にかけて流行の時期を迎えますので、インフルエンザの予防接種を受けられる方は、12月中旬までには接種を済ませましょう。また、十分な睡眠とバランスのよい食事をとることなどにより、体力や抵抗力を落とさないこと、さらに、外出から帰ったらうがい(口をゆすぐ程度ではなく、15秒間のうがいを2〜3回行う)や、流水を使った手洗いなど基本的な感染予防策を実行しましょう。