福岡県感染症発生動向調査情報

第45週分(平成14年11月4日〜11月10日)

SRSV(小型球形ウィルス)による胃腸炎

今週第45週の感染症発生動向調査情報では、水痘、流行性耳下腺炎の報告数は増加していますが、A群溶レン菌咽頭炎の報告数は減少しています。また、感染性胃腸炎の報告数は更に増加しています。

さて、今週は、感染性胃腸炎の原因の一つでもある小型球形ウィルス(Small Round Strucured Virus、以下SRSVという)による胃腸炎についてお話しします。

感染性胃腸炎を起こすものには、同時に食中毒の原因となるものがあり、この小型球形ウィルスもその一つです。特に冬季に多くみられます。

SRSVの感染経路としては、SRSVに汚染された生の貝類を食べたり、それらの貝類を扱った手や調理器具などを介して起こります。生または十分加熱されていない貝類を食べていない場合にも感染が起こる可能性はあります。例えば、貝類を調理するために使ったまな板を十分洗わずSRSVが残り、そこで調理した生野菜をサラダとして食べた場合などです。その他、患者の下痢便や嘔吐物、それらに汚染された手などを介しても感染します。

潜伏期は1〜2日で、嘔吐・腹痛・下痢・発熱(38度以下)などの症状が1〜2日見られます。嘔吐や下痢が続くと脱水症状を起こすために、水分補給が必要となります。

予防のためには、加熱を必要とする貝類には十分に熱をとおして食べること、生の貝類を扱った手や包丁やまな板、ざるなどの調理器具はすぐ洗い(場合によっては、熱湯などで消毒する)、次に調理する食品や調理器具に、二次汚染が広がらないようにすることが大切です。また、患者の便や嘔吐物など、ウィルスを含む汚染物を処理した場合には、十分に手を洗いをしましょう。

普段から、排便後やおむつ換えの後、調理前や食事前などに手をよく洗うことは、予防のために大切な習慣です。