福岡県感染症発生動向調査情報

第48週分(平成14年11月25日〜12月1日)

性器クラミジア感染症

今週第48週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザ、水痘、流行性耳下腺炎の報告数が増加しています。全国的には浜松市からもインフルエンザウイルスA香港型の報告があっています。韓国ではインフルエンザの患者が急増しているとのことです。東京都では今冬の流行は比較的大規模と予測しています。ワクチン接種による予防や手洗い・うがいといった基本的な感染予防策を実行しましょう。

12月1日の世界エイズデーの前後には、様々なところで「エイズ」や「性感染症」の事がとりあげられました。保健所等にもエイズや性感染症に関する相談の電話がたくさんありました。そこで、今回は相談の多かった性器クラミジア感染症についてお話しします。

性器クラミジア感染症は性行為によって感染する病気、いわゆる性感染症(STD,Sexually Transmitted Diseases)の一つで、クラミジア・トラコマチスの感染によって起こります。この疾患は性感染症の中でも報告数が多く、この10年間の福岡県における報告数は増加傾向にあります。

症状としては、女性の場合は子宮頸管炎が起こると、下腹部の痛みや帯下(おりもの)の増加などが見られますが、症状が軽く気がつかないこともあります。男性の場合は尿道炎が起こると、性器からの分泌物の増加や排尿時の痛みなどがあります。

現在問題となっているのは、症状がなく感染している場合で、他の性感染症より症状が軽いため、気がつかないうちに感染していたり、逆に感染源となっているおそれがあり、また、いったん治っても、性パートナーと感染を繰り返す(ピンポン感染と呼ばれます)という特徴があります。

治療には抗生物質などが有効ですが、慢性的に感染が続く場合、女性では骨盤の中に炎症が広がり(骨盤腹膜炎)、卵管などの癒着によって、不妊症や子宮外妊娠を起こすことがあります。また、出産時に新生児の結膜炎や肺炎を起こす場合もあります。

感染予防としては、普段から安全な性行動を心がけ、また、自覚症状がある場合は早めに医療機関で検査治療を受けましょう。治療を受ける場合は、性パートナーと共にきちんと治療を受けることが必要です。

また、保健所では性感染症の相談やエイズの検査が無料で受けられます(一部の保健所では梅毒やクラミジアの検査も行っています)。県内どこの保健所でも相談や検査が受けられますが、保健所によって曜日や時間帯が違うので、事前に電話で確認(予約が必要な場合がある)をして行くことをおすすめします。