福岡県感染症発生動向調査情報

第49週分(平成14年12月2日〜12月8日)

マイコプラズマ肺炎

今週第49週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数が急増しています。一定点医療機関あたりの報告数は2.6(前週0.5)となっています。地区別では、北九州が0.3(前週0.1)、福岡が2.5(前週0.5)、筑豊が0.4(前週0.0)、筑後が6.8(前週1.5)と各地区で増加しており、注意が必要です。北九州、福岡、筑後地区では学級閉鎖等の報告もあっています。福岡県でもインフルエンザウィルスA香港型の分離の報告がありました。インフルエンザの一般的な予防として@なるべく人混みをさけるA外出から戻ったら、流水と石けんで手洗いし、1回あたり15秒間のうがいを2,3回行うB室内の温度(18〜20℃)、湿度(60〜70%)を保つC過労や睡眠不足を避け、バランスのよい食事をこころがけるなどを実行しましょう。またインフルエンザの予防接種はワクチンを接種してから効果が現れるまで約2週間程度かかります。受けられる方は早めに接種を済ませましょう。

さて、今週は増加傾向のみられるマイコプラズマ肺炎についてお話しします。

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという病原体の感染によって起こります。以前は4年ごとオリンピックの年に流行するとされていましたが、最近はそのような周期性は見られなくなっています。1〜30歳位の年齢層によく見られ、乳児や高齢者は比較的少ないといわれています。

症状としては、2〜3週間の潜伏期のあとに、発熱、頭痛、倦怠感、咳などの症状が見られます。のどから気管支へと炎症が進み、肺炎が起こりますが、咳は次第に激しくなり、他の症状が消失したあと数週間も続くことがあります。

感染経路としては、患者の鼻やのどからの分泌物に直接触れたり、飛沫を吸い込だりすることによるものがあります。発病前1週間〜発病後10日程度が、感染力がある期間といわれています。

予後は、比較的よい病気ですが、呼吸器以外に発疹、神経炎、心筋炎などの合併症が見られる場合があります。小児の方が成人より合併症を起こしやすいといわれており、注意が必要です。

また、症状がおさまっても病原体が排出され続けることがあるため、治療薬(エリスロマイシンやテトラサイクリンなどの抗菌剤)は、自己判断でやめたりせず、医師の処方に従って服用することをおすすめします。