福岡県感染症発生動向調査情報

第4週分(平成15年1月20日〜1月26日)

感染性胃腸炎

 インフルエンザの報告数は全国的には増加中で、西高東低で流行していますが、福岡県は前週よりやや減少しています。一定点医療機関あたりの報告数は30.9(前週40.9)、地区別では、北九州が45.3(前週63.7)、福岡が28.4(前週36.6)、筑豊が31.0(前週38.6)、筑後が18.1(前週22.1)となっています。インフルエンザウィルスB型陽性報告数がやや増加し、B型の報告数がA型の報告数より多い定点医療機関もあります。今後B型の流行も懸念されますので、引き続き注意しましょう。

インフルエンザ予防法の代表は予防接種ですが、一般的な予防法としては、次のようなものが重要です。
@栄養と休養を十分に取って、抵抗力を高め感染しにくくする。
A人ごみを避け、病原体であるウイルスを寄せ付けないようにする。
B加湿器などで室内に適度(60〜70%)な湿度を保ち、ウイルスが乾燥した空気中を長時間漂うのを防ぐ 。
C外出後の手洗いやうがいを励行する。

また、増加傾向にあった感染性胃腸炎の報告数が今週も増加しており、感染性胃腸炎の原因の一つであるロタウイルス陽性例も増加中です。そこで、今週はロタウィルスによる感染性胃腸炎についてお話しします。

ロタウィルスは秋から冬にかけて乳幼児に流行し、乳幼児嘔吐下痢症を起こします。一般に生後6か月〜2歳ごろの乳幼児によく見られます。

潜伏期は2〜3日で、症状としては、まず急な発熱と嘔吐がみられ、その後、嘔吐は減少しますが、下痢が始まります。下痢は白色〜黄白色で水様性、一日に十数回も出ることがあります。これらの症状から、以前は、仮性小児コレラや白色便下痢症などと呼ばれていました。

治療としては、頻回の下痢や嘔吐によって脱水が起こるため、水分補給が中心となります。食事は、弱っている胃腸に負担をかけないため、消化がよく柔らかいものがよいでしょう。脂肪分の多いものや、糖分の多いものは、胃腸に負担をかけるためしばらく控えましょう。場合によっては、吐き気止めや整腸剤などが使われることがありますが、あまり強い薬は使われません。ほぼ数日〜10日以内には治る病気ですが、脱水にならないよう注意しましょう。

感染経路は、ヒトからヒトへの経口感染で、発病後1週間が感染力が強いといわれています。感染予防のために排便後やオムツ交換後、調理や食事前に十分手洗いをすることが大切です。

子供の下痢症の際に注意したいのは以下の様な点です。@下痢発症後2〜3日は、少量ずつでも頻回に水分の補給を心掛け、脱水症を予防すること、A手洗い等を心掛け、家族内感染の予防に注意すること。