福岡県感染症発生動向調査情報

第8週分(平成15年2月17日〜2月23日)

水痘

今年第8週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は横ばい状態になっています。一定点医療機関あたりの報告数は15.1(前週15.3)、地区別では、北九州が11.7(前週11.8)、福岡が15.2(前週14.5)、筑豊が9.0(前週9.3)、筑後が22.6(前週24.6)となっています。インフルエンザウィルスA型罹患後のB型罹患例も多くなっています。まだ、インフルエンザ流行発生警報は継続中です。引き続き、手洗いやうがいといった基本的予防法を続けましょう。また水痘、流行性耳下腺炎、流行性角結膜炎などの報告数が増加しています。

今週は水痘についてお話しします。

水痘は一般的には水ぼうそうともいい、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症です。感染経路としては、水疱の内容物による直接感染のほかに、飛沫感染や空気感染があります。潜伏期は2週間程度で、突然発病します。

小児では一般的に発疹が最初に見られます。赤い斑点状の発疹から始まり、数時間で水ぶくれとなり、3〜4日くらいでかさぶたのようになります。発疹の場所は、うでや顔などのむき出しの部分よりは服の下に覆われている部分に出やすい傾向があります。初期の数日間は新しい発疹が次々に出現するため、赤い発赤状のものや水ぶくれのようなもの、かさぶたのようなものなどが混在してみられることも特徴です。

水痘は感染力が強く、発疹出現後1〜2日前より水疱期の間は感染しますので、すべての発疹がかさぶたになるまでは登校、登園はできません。誰もが罹患しうる病気で、通常は軽症で済むことがほとんどですが、白血病やがんなどの基礎疾患がある人や免疫不全などを持つ小児の場合には、重症化することもあります。まれですが、肺炎や脳炎などが合併症としてみられることがあり、時に死亡することもあります。元気がなくぐったりしているときや嘔吐がひどいときには早めに診察を受けましょう。

予防の第一は感染源となる人との接触を避けることです。また、水痘ワクチンの予防接種も有効です。水痘ワクチンの一回接種による抗体獲得率は92〜95%とされています。ただし、接種を受けた人のうち10%程度は発症しますが、症状は軽く、重症化する心配もないといわれています。水痘が流行している施設や家庭内での発症予防として、患者と接触した場合は、72時間以内にワクチン接種を行えば発症予防が期待できるとされています。

治療についてですが、基本的に自然治癒が期待できますが、重症感染に対しては抗ウイルス剤や免疫グロブリン製剤などを使用することがあります。また、発熱に対してアスピリンを含む解熱剤を服用すると、ライ症候群(小児にみられる急性脳症)をおこすことがありますので、医師の指示なくお薬を飲ませるのはやめましょう。