福岡県感染症発生動向調査情報

第10週分(平成15年3月3日〜3月9日)

麻しん

今年第10週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は横ばい傾向です。一定点医療機関あたりの報告数は17.1(前週17.4)、地区別では、北九州が19.4(前週14.9)、福岡が17.0(前週18.3)、筑豊が11.6(前週8.1)、筑後が17.6(前週24.0)となっており、北九州、筑豊地区では増加しています。ほとんどがインフルエンザB型陽性報告例です。まだ、インフルエンザ流行発生警報は継続中です。引き続き、手洗いやうがいといった基本的予防法を続けましょう。また流行性耳下腺炎の報告数が急増しています。

今週は麻しんについてお話しします。

麻しんは麻しんウイルスによって起こり、急性で伝染力が強く、かかった場合には、合併症率約30%、平均入院率40%、死亡率0.1〜0.2%の重篤な病気です。冬から春にかけて流行すると言われています。

感染経路は、主に飛沫による空気感染ですが、感染者の鼻やのどの分泌物に直接触れて感染することもあります。

潜伏期は約10日で、発症して治るまでは1週間から10日程度です。

症状としては、はじめに発熱、咳、鼻水、のどの痛みが見られ、その後、口の中にコップリック斑(頬側の粘膜がわずかに紅くそこに小さな白い斑点のような湿疹ができる)や、耳の後ろ、額や頸から小さな紅い湿疹が手足や胴体に広がりますが、これは熱が下がっていくと同時に消えていきます。そのあとに色素沈着や落屑(皮膚の表面が少しはがれたれたようになり、垢のようなものが出る状態)を残します。色素沈着は、ほとんどが発症してから2週間程度で消えます。

麻しんの合併症としては、肺炎や脳炎・脳症、脳脊髄炎などがあり、発症年齢が低いほど予後が悪いといわれています。

麻しんは、感染力が強く、さまざまな合併症を起こしたり、後遺症を残すことがあるため、予防がとても大切な病気の一つです。麻しんワクチンによる予防効果は95%以上といわれています。現在、麻しんの定期予防接種の対象年齢は1歳から7歳半までとなっていますが、グラフでもわかるように現在麻しんにかかる人は1歳児がもっとも多く、この年齢の麻しんワクチンの接種率は50%と低くなっています。1歳になったらなるべく早い時期に麻しんの予防接種を受けましょう。

また、1歳未満の乳児の場合でも、麻しんが流行しておりかつ集団生活をしている場合は、任意接種を受けた方がよい場合もあるので、心配がある場合は、かかりつけ医にご相談ください。