福岡県感染症発生動向調査情報

第13週分(平成15年3月24日〜3月30日)

性器クラミジア感染症

今週第13週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数はかなり減少しています。一定点医療機関あたりの報告数は7.8(前週12.8)で、流行発生警報継続基準値の10を下回りました。しかし、手洗いやうがいといった基本的予防法はいろいろな感染症予防に有効です。引き続き実施しましょう。

さて、今週から4回シリーズで性感染症についてお話したい思います。まず今週は性器クラミジア感染症です。

性器クラミジア感染症は、性行為によって感染する病気、いわゆる性感染症(STD,Sexually Transmitted Diseases)の一つで、クラミジア・トリコマチスの感染によって起こります。これは性感染症のうち最も報告数が多い疾患の一つです。性行為の多様化に伴い、以前のような性器と性器の接触によるもの以外に、性器と口唇の接触や、口唇と肛門の接触による感染が問題となっています。また、この病気は他の性感染症より症状が軽いため、気がつかないうちに感染していたり、逆に感染源となっているおそれがあり、また、いったん治っても、性パートナーとの間で感染を繰り返すという特徴があります。

潜伏期は約1〜3週間です。その症状としては、女性の場合、子宮頸管炎が起こると、下腹部の痛みや帯下(おりもの)の増加などが見られますが、症状が軽く気がつかないこともあります。慢性的な感染によって、骨盤の中に炎症が広がり(骨盤腹膜炎)、卵管などに癒着が起こり、不妊症や子宮外妊娠を起こすことがあります。また出産時に新生児の結膜炎や肺炎を起こす場合もあります。男性の場合は尿道炎が起こると、性器からの分泌物の増加や排尿時の痛みなどがあります。

また、治療にあたっては必ず性パートナーついても検査や治療が必要です。両者に感染があった場合は、同時に治療しないと一方が治ってもまた、相手から感染させられるといういわゆるピンポン感染を起こすからです。

性器クラミジア感染症に限らず、性感染症はコンドームを正しく使用することで予防できます。途中から使用したり、破損したりといったことがあると感染を防ぐことはできません。予防のためには誰でも感染する可能性があることを理解し、普段から安全な性行動を心がけることが大事です。また、ピルは避妊のための薬で、感染を予防するものではありません。ピルを服用している人も性感染症予防のためにはコンドームを使いましょう。自覚症状がある場合は早めに医療機関で検査や治療を受けましょう。

また、保健所では性感染症の相談やエイズの検査が無料で受けられます(一部の保健所では梅毒やクラミジアの検査も行っています)。県内どこの保健所でも相談や検査が受けられますが、保健所によって曜日や時間帯が違うので、事前に電話で確認(予約が必要な場合がある)をして行くことをおすすめします。