福岡県感染症発生動向調査情報

第14週分(平成15年3月31日〜4月6日)

淋菌感染症

今週第14週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数は減少しています。

さて、先週から4回シリーズで性感染症についてお話ししているところですが、今週は2回目で性器クラミジア感染症に次いで2番目に多い淋菌感染症をお話します。

淋菌感染症は淋菌という細菌の感染で起こる性感染症です。これは、1950年ごろは日本全国で年間約20万人の届出がありましたが、1957年の売春防止法以後急激に減少し、以後増減を繰り返してきました。エイズが社会的な問題となってきた1980年代中ごろからは減少傾向がみられていましたが、この数年再び増加傾向がみられ、とくに男性の増加が問題となってきています。

淋菌の感染によって、男性には尿道炎が起こり、女性には子宮頸管炎が起こってくることが多いのですが、症状に差があります。

男性の場合は、感染後数日から1週間前後してから尿道にかゆみや熱っぽい感じがあり、尿道口からは粘液が出てきます。しだいに尿道口が赤くなり、緑色の膿が出て、排尿時に痛みを伴うようになります。女性の場合は、男性の場合より症状が軽いことが多く、感染後数日で帯下(おりもの)が増える程度で、気がつかないままのこともあります。これを放置しておくと炎症は広がり、男性の場合は前立腺炎を、女性の場合は尿道や子宮内膜、卵管、卵巣や骨盤腹膜に炎症を起こし、不妊や子宮外妊娠の原因となることがあるので早期に治療を受けることが必要です。

治療は、主に抗生物質の経口剤の服用です。きちんと治療を受ければ、数日で治癒し、感染性もなくなります。しかし、治療を受けなければ、無症状でも感染性は数年続くこともあります。治療の際は、パートナーにも感染の可能性があることを伝え、一緒に検査や治療を受けることが大切です。

また、淋菌感染症の15〜30%にクラミジア(第13週の報告でお知らせしましたが)の混合感染がみられるという報告もあり、淋菌感染症にかかっていると診断された場合、クラミジアの検査も一緒に受けることをおすすめします。

予防のためには安全な性行動(コンドームの正しい使用、複数のパートナーを持たないなど)を心がけることが大切です。

保健所では性感染症の相談やエイズの検査が無料で受けられます(一部の保健所では梅毒やクラミジアの検査も行っています)。県内どこの保健所でも相談や検査が受けられますが、保健所によって曜日や時間帯が違うので、事前に電話で確認(予約が必要な場合がある)をして行くことをおすすめします。