福岡県感染症発生動向調査情報

第15週分(平成15年4月7日〜4月13日)

性器ヘルペス

今年第15週の感染症発生動向調査情報では、インフルエンザの報告数はさらに減少しています。また、咽頭結膜熱、流行性耳下腺炎、流行性角結膜炎の報告数が増加しています。

さて、今月は4回シリーズで性感染症についてお話ししているところですが、今週は性感染症としては、性器クラミジア感染症、淋菌感染症に続いて報告の多い性器ヘルペスについてお話します。

性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスの一つである単純疱疹ウイルス(Herpes Simplex Virus、HSV)1型または2型が性器に感染して起こる病気です。

単純疱疹ウイルスは感染したあと神経節に潜伏し、免疫などの体の抵抗力が低下した場合に再発するという特徴があります。

初めて感染した場合は、2〜10日の潜伏期を経て、初めに外陰部にかゆみが出現、次に水疱ができ、びらんや潰瘍となり痛みを伴います。これらはしだいに痂皮(かさぶた)となり、2〜6週間以内に治ります。他に排尿時の痛みや足の付け根のあたりのリンパ節が腫れて痛いなどの症状が見られることがあります。なお、肛門性交では、肛門周囲や直腸粘膜にも病変が出現することもあります。一般に女性のほうが男性よりも症状が重い傾向があるといわれています。強い日焼け、ストレス、月経、飲酒、疲労やエイズなどで免疫力が低下した場合に再発が起こり、症状がでる数日前から腰の痛みや足のしびれ、局所のかゆみなどがみられることがありますが、初めて感染した場合よりも症状は軽くなります。

感染経路としては、性行為(口腔、肛門や性器の接触によるものも含む)のみならず、病変部との直接接触や、手指や器具などを介した接触によるものもあります。

治療としては、抗ウイルス薬(アシクロビル)を使用します。そのほかに痛みの強い場合は鎮痛薬なども一緒に使われます。しかし、現在の抗ウイルス薬では潜伏感染しているヘルペスウイルスを排除することができません。

予防としては、他の性感染症と同様に安全な性行動を選択することが必要です。病変部との直接接触を避け、もし接触した場合は、すぐに手洗いなどを行い感染を予防しましょう。

なお、保健所では性感染症の相談やエイズの検査が無料で受けられます。(一部の保健所では梅毒やクラミジアの検査もしています)。県内のどこの保健所でも相談や検査が受けられますが、保健所によっては曜日や時間帯が違うので、事前に電話で確認(予約が必要な場合がある)をしていくことをお勧めします。