福岡県感染症発生動向調査情報

第17週分(平成15年4月21日〜4月27日)

重症急性呼吸器症候群(SARS)

今年第17週の感染症発生動向調査情報では、手足口病の報告数が前々週から増加中です。

さて、今週は新型肺炎の重症急性呼吸器症候群(SARS)についてお話しします。

平成14年11月から中国広東省や香港などで発生してきたSARSはアジアを中心に広がり、WHOの報告によると平成15年4月29日現在世界の累積症例数は5,462人、死者429人となっています。平成15年5月1日現在の伝播確認地域はトロント、シンガポール、北京、広東省、香港、山西省、台湾、内モンゴル自治区、ロンドン、米国(国としての報告はあるも、米国内の特定地域の指定はない)となっています。

SARSの主な症状は、38℃以上の高熱、痰を伴わない咳、呼吸困難で、また胸部レントゲン写真で肺炎の所見がみられます。SARSの感染力は現在わかっている範囲では、感染した人の飛沫、体液を通じて感染すると考えられています。従って感染した人と濃厚な接触をしなければ、人から人に伝播しないと考えられています。

上記伝搬確認地域から帰国された方で10日以内に38℃以上の急な発熱、咳、呼吸困難などの症状がみられた方は、まず最寄りの保健所にご相談ください。症状がないときには、特に心配する必要はありませんが、不安な場合等も保健所で相談を受け付けていますのでご活用ください。

本症候群への罹患を予防するため、平成15年5月1日現在、国が不要不急の旅行を延期することをお勧めしている地域は、香港・中国広東省、山西省、北京の4地域です。これらの地域への渡航の是非については検討することをお勧めします。どうしても行かなければならない場合は、「手洗い・うがい・マスク」等の標準的な予防策を講じましょう。また、目・鼻・口をさわる時は清潔な手でさわるようにしましょう。

現在検疫所ではSARS伝播確認地域からの入国者の方へは、潜伏期間の10日間は、(1)人に会うのは最小限にする。また、濃厚な接触はできるだけさける。(2)外出時はマスクをできるだけ着用する。(3)発熱、咳、呼吸困難の症状が1つでもでたら、保健所もしくはかかりつけの医師に受診する。その際は、感染地域からの帰国であることを告げ、予約をとる、といった対応するよう指導しています。(※この記事は、WHOやCDC、国等からの現時点で得られる情報に基づき作成しています)