福岡県感染症発生動向調査情報

第18週分(平成15年4月28日〜5月4日)

A型肝炎

今年第18週の感染症発生動向調査情報では、休日の影響か多くの疾患の報告数が減少していますが、手足口病の報告数は毎週増加中です。

さて、今週はA型肝炎についてお話しします。

A型肝炎は、A型肝炎ウイルスを原因とする感染症で、感染症法では、「ウイルス性肝炎(急性のみ)」として、四類感染症に含まれており、診断した医師は、7日以内に保健所長へ届出を行うことになっています。

40年前の日本ではほとんどの人が感染する一般的な感染症でしたが、生活環境の整備に伴って感染する機会はほとんど無くなりました。現在では季節的な小規模な発生に加え、海外での感染による発生が見られます。

原因となるA型肝炎ウイルスに汚染された生水や食品、特に生の貝や魚を口にすることで感染します。また、患者の便の中にウイルスが含まれるため、これに汚染された手を介して感染することもあります。しかし、感染したら必ず発症するわけではなく、症状がでない場合もあります。また、一度かかると抗体ができて、二度とかかりません。患者が若い年代に多い一方、50歳以上にそれほど多くないのは、衛生状態が良くなかった頃に感染し抗体をすでにもっているためと考えられます。

潜伏期は平均30日で、症状は、急な発熱で始まり、38度以上になります。熱は3〜4日持続し、この間に全身倦怠感、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢、尿が濃くなる等の症状が出現します。さらに黄疸が認められますが、これらの症状は通常7〜10日で軽くなります。一般に小児は軽症で症状が現れない場合もありますが、成人ではほとんどの場合に症状が現れ、重症化することもあります。

予防としては流行期や肝炎が発生している地域での生水、生ものの摂取を控えることです。また、家族内に患者が発生した場合は、食事の前の手洗いを心がけましょう。途上国などではA型肝炎がなお広く見られる地域があります。このような地域へ旅行する場合は、生水や、生ものを口にしないようにしましょう。また、A型肝炎には予防接種があります。15才以上で海外渡航を予定している人は福岡検疫所で予防接種を受けることができます。希望される場合は問い合わせてみてください。