福岡県感染症発生動向調査情報

第20週分(平成15年5月12日〜5月18日)

ヘルパンギーナ

今年第20週の感染症発生動向調査情報では、ヘルパンギーナ、手足口病の報告数が増加しています。感染性胃腸炎の報告数も増加の兆しがありますので、注意が必要です。

さて、今週は初夏〜初秋にかけて流行するヘルパンギーナについてお話しします。

ヘルパンギーナは主にコクサッキーウイルスA群によっておこる感染症です。主として乳幼児期にかかることが多く、夏場に流行するのが特徴です。ウイルスに感染すると、3〜5日の潜伏期間の後、突然39℃前後の高熱がおこり、のどの奥に1〜2mmぐらいの水疱が数個できます。水疱はやがて破れて浅い潰瘍をつくります。そのため、のどの痛みや食べ物を飲み込むときの痛みを訴えるようになります。乳児がかかった場合は、のどの入り口に痛いものができているので、ミルクや離乳食をほしがらないといったことがみられます。

熱は2〜4日間続くことが多く、のどの痛みなどの症状は4〜6日間続きます。予後は通常は良好で、対症療法を行うだけで改善します。ただ、稀に髄膜炎を合併することがありますので、いったん下がった熱がまた上がるようなことがあったり、頭痛を伴なったりする場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

のどの痛みのため、食物・水分摂取が困難になりますが、発熱もありますので、脱水症にならないよう、十分水分をとるようにしましょう。

感染は、患者の咳、くしゃみや鼻水、痰、便などに触れることでおこります。主に、熱や水疱がある急性期に感染しますが、便には、数週間ウイルスが存在することがあるので、便や下着を扱ったあとは、手をよく洗いましょう。また、保育所などの人が集まるところで流行すると感染が広がるので、熱やのどの痛みが続いている間は休ませて、医療機関を受診して診断を受け、指示に従いましょう。また、一度この病気にかかっても、ウイルスの型が違うと再度感染することがあるので注意が必要です。

ウイルスは、のどから出された分泌物や便にたくさん含まれています。また、症状がおさまっても、数週間は便の中にウイルスが出ることがありますので、感染予防のために、うがいをしたり、排便後や調理や食事の前に十分手を洗いましょう。