福岡県感染症発生動向調査情報

第21週分(平成15年5月19日〜5月25日)

咽頭結膜熱

今年第21週の感染症発生動向調査情報では、ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱、A群溶血レンサ球菌咽頭炎の報告数が増加しています。特に手足口病の報告数が急増しており注意が必要です。

さて、そろそろプール開きの時期がやってきました。今週は咽頭結膜熱についてお話しします。

咽頭結膜熱の原因はアデノウイルスというウイルスです。アデノウイルスは47種類が知られていますが、咽頭結膜熱を起こすのは、通常3型が多く、その他1・4・7・14型もみられます。

例年6月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月に発生のピークを示す夏期の疾患です。プールでの感染も見られることから「プール熱」という名前でも知られています。10歳未満が95%、特に5歳以下が80%と、主に小児に見られる疾患です。

典型的な症状としては、「咽頭結膜熱」という名前どおり、5〜7日の潜伏期の後、発熱と、のどの腫れと痛み、耳の周りや首のリンパ節の腫れが出現します。また、目が充血して涙や目やにが多く出たり、目が痛んだりします。目の症状は片方の目から始まり、両方の目に広がります。高熱やのどの腫れ・痛みなどの症状は普通3〜5日間程度で治り、7型ウイルス感染を除けば、一般的に予後は良好です。7型ウイルスの場合には、重症肺炎等の重篤な合併症を起こすことがあり注意が必要です。

特別な治療法はありませんが、眼の症状が強い場合は、眼科での治療が必要になることもあります。

ウイルスは、患者の眼・のど・便から排泄され、飛まつ(咳やくしゃみをした後の「しぶき」が空中で乾き、漂っているものです)や、ウイルスがついた手やタオルなどを介して感染します。最近はプールの衛生管理が良くなったため、プールで感染することより、飛まつやウイルスのついた手やタオルなどを通じて感染することの方が多くなりました。予防のためには普段からうがいや手洗いを行い、タオルやハンカチを共有することを避けることが大切です。また、プールを介しての流行に対しては、水泳前後のシャワーなど一般的な予防方法の励行が大切です。