福岡県感染症発生動向調査情報

第22週分(平成15年5月26日〜6月1日)

流行性耳下腺炎

今年第22週の感染症発生動向調査情報では、ヘルパンギーナ、手足口病の報告数は更に増加しています。また、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎の報告数も増加しています。

そこで今週は、流行性耳下腺炎についてお話しします。

流行性耳下腺炎はムンプスウイルスの感染によって、耳の後ろからあごにかけての唾液腺(特に耳下腺)に炎症が起き、顔がおたふくのようになるので「おたふくかぜ」とも呼ばれています。赤ちゃんより幼児や学童に多くみられる病気です。

潜伏期は2〜3週間で、耳の後ろから下あたりの痛みを訴え、やがて腫れていきます。熱はでないこともあり。でても微熱程度のことが多く1〜2日で下がります。腫れは、柔らかいゴムまりのような感じが特徴です。たいてい両方に見られますが、片方だけだったり、間隔をあけて順番に腫れてくることもあります。腫れは1週間くらい続いた後、引いていきます。

この病気は、耳下腺の炎症だけでなく、無菌性髄膜炎を起こしやすく、思春期以降では精巣炎や卵巣炎、また膵炎や関節炎などを起こすことがあります。無菌性髄膜炎を起こした場合は、頭痛、嘔吐、けいれんなどが起こります。

特別な治療法はありませんが腫れや痛み対しては湿布や痛み止めが有効です。発熱があり、耳下腺が腫れて痛いために、食欲が落ちて脱水を起こしやすいので、水分の補給に気をつけましょう。また、無菌性髄膜炎の予防のためには安静が必要です。

予防のためには、おたふくかぜワクチンがあります。1歳以上で流行性耳下腺炎にかかったことのない人に対し、任意接種(予防接種法などで定められた定期予防接種以外の予防接種。受けたい人が自分でお金を支払って受ける)で行われています。ワクチン接種後に非常にまれですが、副作用で髄膜炎が発病することがありますが、自然に感染した場合に起こる髄膜炎に比べ、頻度も少なく、経過も良好です。ワクチン接種を希望される場合はかかりつけの医師に相談してください。 

流行性耳下腺炎は空気中に浮遊しているウイルスによって人から人へ伝播します。耳の下の腫れが完全に消失するまでは、周囲に感染する可能性があります。登園、登校や人込みへの外出は、症状がなくなるまで避けましょう。