福岡県感染症発生動向調査情報

第27週分(平成15年6月30日〜7月6日)

手足口病

今週第27週の感染症発生動向調査では、ヘルパンギーナと手足口病の報告数が更に増加し、手足口病に無菌性髄膜炎の合併の報告もあっています。また、咽頭結膜熱は高レベルでの報告が続いています。

今週は、手足口病についてお話しします。

手足口病は、エンテロウイルス71型、コクサッキーウイルスA16型等のウイルスによって引き起こされる急性ウイルス感染症で、幼児を中心に初夏から初秋にかけて流行がみられます。

症状としては、手のひら、足のうら、口唇、頬の内側、舌などに2〜3ミリの水疱ができます。手のひらや手足の指の水疱は、周囲は赤く縁取られた米粒大から小豆大のもので、かゆみや痛みはありません。また、2〜3日で吸収され、破れることなく、数日で消失します。口の中の水疱は短期間で破れ、食事の際に痛がるので、それをきっかけに病気に気づくことがあります。

潜伏期は3〜5日で、約1/3に軽度の発熱がみられますが、高熱が続くことは通常なく、ほとんどは1週間程度で治る予後のよい病気です。しかし、まれに無菌性髄膜炎や脳炎などの合併症を起こす場合があり、重症の脳炎では死亡する場合があります。このため、発疹の初期(2〜3日)の症状には注意が必要です。特に、元気がない、頭痛・嘔吐を伴う、高熱を伴う、発熱が2日以上続く等の症状がみられたときは合併症の可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。

また、口の中の粘膜などに水泡ができ、それが破れると強い痛みを伴うために、食事が充分にとれず、脱水を起こすことがあります。この様な時は、刺激が少なく、くちあたりのやわらかい食べ物や飲み物を取り、脱水を起こさないように気をつけましょう。

感染経路としては、飛沫感染、便からの経口感染、水疱の内容物との直接接触によるものがあります。症状から回復後も、糞便からは2〜4週間と比較的長い期間、ウイルスが排出されることがありますので、水疱などの病変部分との接触時、排便後やおむつ交換後、食事や調理前の手洗いなどを心がけましょう。