福岡県感染症発生動向調査情報

第29週分(平成15年7月14日〜7月20日)

風しんの予防接種

今年第29週の感染症発生動向調査情報では、夏期に多い咽頭結膜熱、ヘルパンギーナ、手足口病などの報告が高レベルで続いています。今週も手足口病に髄膜炎の合併の報告があっています。

今週は風しんの予防接種についてお話しします。

風しんは風しんウイルスに感染して起こる病気で、3日はしかとも呼ばれています。風しんウィルスは患者さんの鼻やのどの分泌物の中に含まれており、接触や飛沫を吸い込むことによって感染が起こります。症状としては、2〜3週間の潜伏期の後、発熱と同時に発疹がみられ、3日間程持続します。発疹は淡紅色で、顔や首から始まって全身に広がります。また、この時期に首や耳の後ろのリンパ節が腫れることも特徴です。不顕性感染といって、症状がない場合や発疹がでない場合もあります。症状は一般にはしかよりも軽く、ほとんどが自然治癒しますが、まれに脳炎や髄膜炎を起こすこともあるので注意が必要です。

また、妊娠初期の女性が風しんに罹患すると、風しんウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、出生児が先天性風しん症候群という病気を発生することがあります。この病気は妊娠中の感染時期により重症度、症状が異なりますが、妊娠2ヶ月以内の女性が風しんにかかると、赤ちゃんが白内障、先天性の心臓病、難聴の2つ以上を持って生まれてくることが多いといわれています。妊娠3〜5ヶ月に感染した場合でも難聴が多くみられます。その他、子宮内での発育が遅い、網膜の病気、緑内障、小頭症、髄膜炎、精神運動発達に遅れがある、肝臓や脾臓が腫れる、血小板減少性紫斑病などといった症状が赤ちゃんに認められる場合があります。

先天性風しん症候群を予防するには、個人的には女性がワクチンによって風しんに対する免疫を獲得することですが、日本全体で風しんを予防するには男女共が風しんワクチンを接種し、接種率を上げることによって風しんの流行そのものを抑制し、妊娠中の女性が風しんウイルスに曝露されないようにすることが重要です。

現在、予防接種法に基づいた定期接種として風しんの予防接種を受けることができるのは生後12ヶ月〜90ヶ月未満の小児です。ただし、平成15年9月30日まではならば、昭和54年4月2日〜昭和62年10月1日までに生まれた方も予防接種法に基づいた予防接種を行うことができます。

風しんの予防接種をまだ受けていない人、風しんにまだかかったことがない人は、是非今、風しんの予防接種を受けましょう。