福岡県感染症発生動向調査情報

第31週分(平成15年7月28日〜8月3日)

咽頭結膜熱

今年第31週の感染症発生動向調査情報では、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナ、手足口病の報告数が更に減少しています。

国立感染症研究所の調査で、この夏の咽頭結膜熱の報告数が過去10年間の記録を上回ったことがわかりました。そこで、今週は減り始めてはいますが、依然として報告数の多い咽頭結膜熱についてお話しします。

咽頭結膜熱は10歳未満が95%、特に5歳以下の幼児が約80%と、主に小児に見られる疾患です。夏に多く、以前はプールを介した流行があったため、「プール熱」という名前でも知られています。

症状は、5〜7日の潜伏期の後、発熱、のどの腫れと痛み、耳の周りや首のリンパ節の腫れが出現します。また、目が充血して“目やに”や涙が出たり、目が痛んだりします。一般的に予後は良好で、普通は1週間程度で治ります。

原因はアデノウイルスというウイルスです。アデノウイルスの中にはさまざまな型があり、咽頭結膜熱を起こすのは、3型のウイルスによることが多いのですが、他の型のウイルスの場合もみられます。7型のウイルスの場合には、重症肺炎などの重篤な合併症を起こすことがありますが、今年はこの7型ウイルスの報告もありますので、注意が必要です。

かかってしまったときには、安静にして体力の回復に努め、発熱による脱水状態にならないよう、こまめに水分を与えるようにしましょう。特別な治療法はありませんが、目の症状が強い場合は眼科での治療が必要になることもあります。

ウイルスは、患者の目・のど・便から排泄され、飛まつ(咳やくしゃみをした後の「しぶき」が空中を漂っているものです)や、ウイルスのついた手やタオルなどを介して感染します。感染予防のために、友達同士でのタオルやハンカチの共有は避け、プールの前後にはシャワーを浴びるようにしましょう。また、普段から手洗いやうがいをするなどの一般的な注意も大切です。