福岡県感染症発生動向調査情報

第32週分(平成15年8月4日〜8月10日)

夏かぜ

今年第32週の感染症発生動向調査情報では、ヘルパンギーナ、手足口病の報告数は更に減少していますが、咽頭結膜熱の報告数は今週は横ばいです。

今週は、夏かぜについてお話します。

かぜのほとんどはウイルスの感染によって起こりますが、原因となるウイルスは200種類以上あるといわれています。多くのウイルスは寒くて乾燥した環境を好むため、冬にかぜやインフルエンザが流行します。しかし、気温と湿度の高い夏を好むウイルスもいるため、夏には冬とはやや違ったかぜが流行します。ヘルパンギーナを起こすエンテロウイルスや、咽頭結膜熱(プール熱)を起こすアデノウイルスがその代表です。 

冬のかぜは咳、鼻水などの上気道症状が主ですが、夏かぜの場合は38〜40度の高熱や腹痛、嘔吐などの胃腸症状を伴うことがあるのが特徴です。また、エンテロウイルスの中には髄膜炎を起こしやすいものがあるので、毎年夏かぜの流行時に髄膜炎の報告も増えます。髄膜炎の一般的な症状は発熱、頭痛、吐気、嘔吐です。しかし、乳幼児では頭痛を訴えることができず、発熱や機嫌が悪いということで発見されることがありますので、子どもの様子に注意し、早めに医師に相談しましょう。ウイルス性髄膜炎には重症のものもありますが、通常は数日で後遺症を残さず治ります。

エンテロウイルスもアデノウイルスも腸管で増殖し、熱が下がった後もしばらく便から排泄されますので、排便の後や下着をあつかった後はよく手を洗うようにしましょう。本人には安静をとらせ、他の人への感染を予防するためにも、解熱後すぐにプールに入ることは避けた方がよいでしょう。 

ウイルスによって起こるかぜには、対症療法しかありません。夏はどうしても睡眠不足や、食欲低下のために体力が落ちたりしますので、かかってしまうと治りにくく、長引くことがあります。日頃から十分な睡眠や栄養をとるように心がけましょう。