福岡県感染症発生動向調査情報

第35週分(平成15年8月25日〜8月31日)

サルモネラ感染症

今年第35週の感染症発生動向調査情報では、ほとんどの疾患で大きな増減は認められていません。

秋の気配を感じる時期になりましたが、引き続き食中毒の予防に注意が必要です。今週は細菌性食中毒の原因の約3割をしめるサルモネラについてお話しします。

食中毒とは「食中毒細菌やウイルス、有害・有毒な物質が含まれた食品を食べて起こる健康被害」をいい、昨年全国で発生した細菌による食中毒の患者数は約1万7000人で、うちサルモネラ属菌が原因の患者は約5,800人でした。

サルモネラ菌は家畜やペット(イヌ、ネコ、カメなど)、下水、川などに広く分布していますが、原因食品には、鶏卵及びその加工品、鶏肉、乳製品が多いといわれています。

原因となる食品を食べてから6〜48時間後に、まず吐き気や嘔吐から始まり発熱、下痢などの症状がでます。特に下痢は激しく、便は水様のことが多いようです。通常ほぼ1週間で回復しますが、敗血症などの全身感染に移行したり、意識障害をきたしたりと重症になることもあるため、特に高齢者や乳幼児、小児の場合は注意が必要ですので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

予防のために、家庭では、以下のことに注意しましょう。(1)卵はきれいで、ひび割れのない、新鮮なものを購入すること。(2)持ち帰った卵は、すぐに冷蔵庫に入れること。(3)加熱して調理する場合は、十分加熱すること。加熱が不十分(半熟)だと、生き残った菌の増殖を招くので注意が必要です。(4)破卵やひび割れ卵は生で食べないようにしましょう。(5)調理前の生卵や調理後の卵料理を、室温に長く放置しないこと。(6)賞味期限を守ること。また、ペット等からの感染も無視できないため、外出後や食事前の手洗いを習慣づけましょう。

これから、運動会などのイベントで、折り詰めやお弁当を食べる機会が増えてきますが、余ったものを持ち帰って食べるようなことはやめましょう。