福岡県感染症発生動向調査情報

第37週分(平成15年9月8日〜9月14日)

結核予防週間

今年第37週の感染症発生動向調査情報では、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の報告数が各地区で増加しています。予防のためには、おたふくかぜワクチンがあります。1歳以上で流行性耳下腺炎にかかったことのない人に対し、任意接種(予防接種法などで定められた定期予防接種以外の予防接種。受けたい人が自分でお金を支払って受ける)で行われています。ワクチン接種後に非常にまれですが、副作用で髄膜炎が発病することがありますが、自然に感染した場合に起こる髄膜炎に比べ、頻度も少なく、経過も良好です。ワクチン接種を希望される場合はかかりつけの医師に相談してください。

さて、9月24日〜30日は、「結核予防週間」となっています。そこで、今週は結核についてお話しします。

結核は結核菌という細菌によって、ヒトからヒトにうつる病気で、患者の咳などによって出された分泌物を吸い込むことによって感染します。

しかし、結核は感染してもほとんどの場合は発病しません。これは身体の免疫機構が働いて、結核菌を封じ込めてしまうからです。身体の免疫力・抵抗力が低下し、菌が活動を始めることを発病と言い、発病するのは10人に1人程度です。発病する場合も、すぐには病気として現れません。感染後2ヶ月頃から発病し始め、ほとんどが半年から2年の間に発病し、その後の発生は少なくなります。

2002年度に全国で結核に新たにかかった人は32,828人で、約2,316人の方が結核で死亡しています。これは、1日に97人の新しい患者が発生し、6人が命を落としているという状況です。

結核を発病しないためには、体力や免疫力を低下させないようにすることが大切ですが、たとえ発病しても、早く見つけて、すぐに治療を始めることも大切です。発病してもひどくならないうちに治療すれば、周囲の人にうつす可能性も少なく、また入院せずに外来通院で治療できる場合もあります。

結核を早期発見するためには、咳が長引いたり、カゼが治りにくいなどの症状があるときは、早めに医療機関を受診しましょう。

また、乳児が結核に感染した場合は、結核性髄膜炎や粟粒結核など深刻な症状を呈することがありますので、予防のため、できるだけ早めに予防接種(BCG)を受けることをおすすめします。