福岡県感染症発生動向調査情報

第39週分(平成15年9月22日〜9月28日)

A群溶血レンサ球菌咽頭炎

今年第39週の感染症発生動向調査情報では、ほとんどの疾患の報告数が減少していますが、A群溶血レンサ球菌咽頭炎の報告数は増加しています。そこで、今週はA群溶血レンサ球菌咽頭炎についてお話しします。

A群溶血レンサ球菌の感染によって起こる病気には、咽頭炎、中耳炎、産褥熱などの炎症や、しょう紅熱 、丹毒、リウマチ熱などがあります。これらのうち、A群溶血レンサ球菌咽頭炎は、年間を通して発生がありますが、例年秋から増え始め、冬にピークを迎えます。

A群溶血レンサ球菌による咽頭炎は、大人から子供まで起こりますが、3歳〜7歳の幼児・児童が患者の約7割を占めます。患者の唾液や鼻汁の飛沫によって感染し、感染後2〜5日して発症します。

症状は、のどに炎症が起こって赤くなり、それに強い痛みを伴うことが多く、そのために物を飲み込みづらくなります。また発熱(38.5℃以上)があり、さらに吐き気を伴う場合があります。のどに化膿が起こらなければ、3〜4日で熱も下がり1週間程度でなおる病気です。

治療としては、ペニシリンなどの抗生物質がよく効きます。しかし、A群溶血レンサ球菌咽頭炎が治った後1〜2週間して、腎臓の糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症が起こることがあります。そのため症状がおさまっても、少し長めに薬を飲む必要がありますので、自己判断で中断したりせず、医師の指示に従いましょう。適切な抗生物質による治療を受ければ1日程度で感染力は低くなります。

予防法としては、患者との濃厚接触を避けることが最も重要ですが、うがい、手洗いなどの一般的な予防法を行うことも大切です。