福岡県感染症発生動向調査情報

第42週分(平成15年10月13日〜10月19日)

マスクと感染予防

今年第42週の感染症発生動向調査情報では、変動は少なく、報告数に大きな変化はありません。冬に向かいA群溶血レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘の増加が予測されます。日常の感染予防に努めましょう。

今年もまた、インフルエンザの流行する時期が近づいてきました。インフルエンザにかからないため、かかってもひどくならないためには、予防が大切です。予防の基本はワクチン(予防接種)です。遅くとも、12中旬までには接種を終えましょう。

さて、冬になると、インフルエンザを代表とする呼吸器感染症が流行してきます。今週はマスクと感染予防についてお話しします。

マスクは、大正11年にスペインかぜ(インフルエンザ)が流行した時に、予防のために効果的な方法として勧められ、一般的に広く使用されるようになったといわれています。

マスクは、患者のくしゃみや咳によって飛ぶ鼻汁や分泌物を、周囲の人が吸い込まないために使われます。くしゃみや咳によって飛ぶ「飛沫」には、ウイルスや細菌などの病原体が水分に包まれた形となっています。この「飛沫」が口や鼻から体の中に入って周囲の人に感染を起こすことを「飛沫感染」といいます。また、飛沫の周囲の水分が蒸発して「飛沫核」というごく小さな粒子になって空中を漂って感染を起こすことを「空気感染」といいます。一般的に使用されるマスクは、「飛沫感染」の予防にはある程度有効と考えられていますが、「空気感染」の予防には十分でないといわれています。そのため、「空気感染」を起こす結核患者を治療する医療機関などでは、特殊なマスクが使われています。

マスクはインフルエンザウイルス等を完全に防ぐことはできません。しかし、マスクを着用すると、低温で低湿度の空気がのどの粘膜に直接あたることを防ぎ、のどの粘膜の刺激を避け、のどの粘膜の抵抗力を保つことができるという利点があります。

また、患者さん自身がマスクを着用し、くしゃみや咳によって病原体が飛び散ること防ぐことは、感染を広げないために大切なことです。咳など呼吸器症状がある人は、病院を受診する際には、必ずマスクを着用するようにしましょう。