福岡県感染症発生動向調査情報

第46週分(平成15年11月10日〜11月16日)

ハンセン病

今年第46週の感染症発生動向調査情報では、A群溶血レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎の報告数が急増しています。水痘の報告数も連続増加中です。

今年もまた、インフルエンザの流行する時期が近づいてきました。インフルエンザにかからないため、かかってもひどくならないためには、予防が大切です。予防の基本はワクチン(予防接種)です。遅くとも、12月中旬までには接種を終えましょう。また、日常の感染予防に努めましょう。

今週は、ハンセン病についてお話しします。

ハンセン病は遺伝性の病気ではなく、結核と同じ抗酸菌の仲間である「らい菌」という病原体によって起こる感染症で、以前は「らい病」と呼ばれていました。

潜伏期間は数週間から数十年(平均3〜5年)と比較的長く、症状としては、全身(特に顔面)の皮膚に、少し赤みを帯びて盛り上がったかたまりのようなものが多数できたり、ただれたようになったりします。また、(末梢)神経の障害も起こり、痛みや冷たさなどの感覚が鈍くなることがあります。

最近の日本での年間患者発生数は10名以下で、過去に感染し、加齢や癌などで免疫力が低下したために発病したと考えられています。そして、菌はもともと感染力が弱い上、治療により数日で感染性を失い、軽快した患者と接触しても感染することはありません。このため、患者に関しては特別な隔離などは必要ありません。

現在療養所に入所されている方は患者・元患者の方々であり、療養所の医師や看護婦などでハンセン病にかかった職員はひとりもおりません。回復した患者(外見上は後遺症はありますが)から、感染する可能性はまったくありません。

ハンセン病の患者の方々は、その症状や後遺症による身体の変形などによって、長い間差別と偏見にさらされてきました。ハンセン病について正しく理解し、患者・元患者のみなさんに対する偏見や差別をなくしましょう。