福岡県感染症発生動向調査情報

第49週分(平成15年12月1日〜12月7日)

インフルエンザ

今年第49週の感染症発生動向調査情報では、感染性胃腸炎と水痘の報告数が増加しています。今週はインフルエンザについてお話しします。

今年のインフルエンザワクチンは昨年使用量の約1.4倍の約47万本(大人のみの接種で換算すれば、約94万人分)が県内に入荷されましたが、予防接種を希望される方が多く、現在ワクチンが不足しています。インフルエンザの予防のためにはワクチンも有効ですが、十分な睡眠とバランスのよい食事をとることなどにより、体力や抵抗力を落とさないこと、さらに、外出から帰ったらうがい(口をゆすぐ程度ではなく、15秒間のうがいを2〜3回行う)や、流水を使った手洗いなど基本的な感染予防策を実行しましょう。また、発症から48時間以内であれば、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬による治療を行うことができますので、インフルエンザの症状がでたら、早めに医師の診断を受け、早めに治療しましょう。

インフルエンザの予防接種は、日本では、1962年(昭和37年)からワクチン接種が実用化され、1980年代半ばまでは接種率は60%程度でしたが、次第に接種率が低下し、1990年代に入ると接種率は20%程度まで低下しました。そして1994年(平成6年)の予防接種法の改正によって対象疾患でなくなり、任意接種となりました。

しかし、その後合併症による死亡(高齢者の場合は肺炎、小児の場合は脳炎・脳症)が問題となり、予防接種法の見直しが行われ、平成13年より、接種が重症化の防止などに有効であると認められた高齢者を対象として、インフルエンザワクチンが定期接種に加えられることになりました。高齢者というのは、65歳以上の人ですが、その他に、60〜65歳未満で心臓、じん臓、呼吸器に重い障害を持っていたり、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害が重い人たちも、接種対象者となります。それ以外の方については、これまでと同様に「任意接種」で接種を受けていただくことになりました。

インフルエンザウイルスは、A・B・Cの3型に分けられていますが、このうち流行的な広がりをみせるのはA型とB型です。その中でも、Aソ連型とA香港型、B型の3種類のウイルスが現在の流行となっています。インフルエンザワクチンは、この3種類のウイルス株から作られますが、同じ型でもいくつかの種類があるので、流行状況を考え、どのウイルス株を使うかは毎年決定されています。今年のワクチンはAソ連型、A香港型、B型とも昨年と同じ株で、A香港型、B型は昨年流行したウイルスとほぼ同じタイプの株です。

予防接種を受けていないでインフルエンザにかかった人の70%〜80%は、予防接種をしていれば、インフルエンザにかからなかったか、かかっても軽くてすむといわれています。しかし、100%の予防はできませんので、日常の感染予防を続けましょう。